作新・今井 151キロ!13K ビッグ3より早く完封一番乗り

[ 2016年8月13日 05:30 ]

<尽誠学園・作新学院>今大会完封一番乗りを果たした作新学院・今井

第98回全国高校野球選手権第7日・2回戦 作新学院3―0尽誠学園

(8月12日 甲子園)
 2回戦4試合が行われた。6年連続出場の作新学院(栃木)は、エース右腕・今井達也投手(3年)が5安打13奪三振で今大会完封一番乗り。今大会最速となる151キロを計測し、尽誠学園(香川)を3―0で下した。優勝候補同士の対決は、今春センバツ4強の秀岳館(熊本)が6―1で常葉学園菊川(静岡)を撃破。北海(南北海道)、聖光学院(福島)も初戦を突破した。

 剛速球に4万4000人がどよめいた。2―0の2回2死二、三塁。今井が松原に投じた5球目は外角に外れるも、「151キロ」と表示された。拍手が湧き起こる中、続く6球目も151キロの直球で空振り三振に斬り、雄叫びを上げた。

 「自分の実力以上のものが出せた」

 直前の渡辺は直球だけで3球三振。3球目は自己最速を1キロ上回る150キロを計測し、今大会初めて球場表示で大台に到達した。昨夏は栃木大会で登板するも甲子園はベンチ外だった。そこから急成長を遂げ、2回以降は毎回の13奪三振。10個を直球で奪い「去年の借りを返そうと思った」と言った。

 今大会完封一番乗り。同校では甲子園での完封は、73年センバツの江川卓(元巨人)以来だ。今大会は「ビッグ3」と呼ばれる横浜・藤平、履正社・寺島、花咲徳栄・高橋昂に注目が集まっているが、その3人を内容でも、球速でも上回った。

 4月に祖父・敏夫さんが肺がんのため79歳で他界。病床で「甲子園を見に行けたらいいな」と楽しみにしていたという。栃木大会優勝後に墓前で「甲子園に行ってくるよ」と手を合わせた。「投手の原点はアウトロー」。祖父の教えだ。最後の打者は4度首を振り、外角低め直球で空振り三振。兄・大樹さん(19)は遺影を掲げながら観戦した。祖父の遺骨を付けたネックレスを身に着けて131球を投げ抜き「おじいちゃんの力もあると思う」と感謝した。

 小針崇宏監督は「今日は出来過ぎ。大観衆の中で投げて成長した」と目を細めた。この日は同校OBの競泳・萩野公介がリオ五輪3個目のメダルを獲得。「世界で活躍する選手に負けないように頑張りたい」との宣言通りの快投で2年連続の16強に導いた右腕は「次は今日以上の投球をしたい」と高みを見据えた。 (青木 貴紀)

 ▼DeNA・吉田孝司スカウト部部長兼筆頭GM補佐 ワインドアップで投げたらもっと球速が出そう。直球もスライダーも切れがいい。

 ▼ヤクルト・小川淳司SD 試合前のブルペンでは球が荒れていたが、試合ではきっちり投げられていた。左の内角へのスライダーもいい。フォームのバランスもいいし魅力がある投手。

 ▼アストロズ・大慈弥功環太平洋担当部長 いい球が来ている。94マイル(約151キロ)出ていた。体形を見ると長谷川滋利(元マリナーズ)のような投手になれる。

 ◆今井 達也(いまい・たつや)1998年(平10)5月9日、栃木県生まれの18歳。小1から北光スポーツ少年団で野球を始める。鹿沼西中では鹿沼ポニーに所属し、3年時に全国大会出場。作新学院では2年夏に初めてベンチ入り。1メートル80、72キロ。右投げ右打ち。50メートル走6秒2。遠投100メートル。

 ▽73年の作新学院・江川 3年時の春夏甲子園に連続出場。春は準決勝、夏は2回戦で敗れたが「怪物」として全国の注目を集めた。春は1回戦で北陽から19三振、準々決勝で今治西から20三振を奪い、2度の完封。4試合で現在も大会記録として残る60奪三振をマークした。

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