【夏の1ページ】配球を悔やみ楽しんだ…わずか半年の捕手散る

[ 2016年8月13日 11:08 ]

<クラーク・聖光学院>甲子園の土を持ち帰るクラーク・岸

第98回全国高校野球選手権第7日・2回戦 クラーク3―5聖光学院

(8月12日 甲子園)
 サインは外角直球。いいコースに来たのに、打ち返された。クラークの岸は「僕の配球ミス。申し訳ないです…」と悔やんだ。3―1の8回無死満塁。そこまでの3打席は直球で打ち取っていた小泉を迎えた。「また直球で押そうと思った」が、初球を狙われ逆転打を許した。

 野球を始めた小1からずっと内野手。今年2月からチーム事情で捕手になった。午前6時すぎから捕球姿勢の反復、送球練習に取り組んだ。捕手の醍醐味(だいごみ)は「空振り三振を奪うこと」。寮の風呂に1時間漬かり、配球を考えることが楽しくなった。聖光学院打線の対策は、試合2日前にホテルの湯船で練った。

 兄・啄也さん(20)は2年前に廃校となった駒大岩見沢の最後の代の野球部員だった。同校を率いていた佐々木啓司監督がクラークで指揮を執ると知って、進路を決めた。兄からは前夜に「試合ではつらくても笑えるようにしろ」というメッセージが届いた。

 9回、小泉との5度目の対戦。変化球で空振り三振を奪い「3年間で一番楽しめた」。観戦した兄と兄の恩師に、成長した姿を見せられた。わずか半年で、背番号2が似合う選手になった。 (川島 毅洋)

 ◆岸 誠也(きし・せいや)1999年(平11)2月11日、北海道生まれの17歳。小1から信濃スターズで野球を始め、札幌厚別中では岩見沢リトルシニアに所属。クラークでは1年春からベンチ入り。好きな言葉は「笑顔に勝る化粧なし」。将来の夢は高校野球の指導者。1メートル65、70キロ。右投げ右打ち。

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2016年8月13日のニュース