2発大谷に栗山監督 グッときた「褒めないけれど尊敬している」

[ 2016年8月7日 05:40 ]

<ソ・日>3回無死一塁、2ランを放った大谷はナインの出迎えを受ける

パ・リーグ 日本ハム8―1ソフトバンク

(8月6日 ヤフオクD)
 リオ五輪も熱いが、大谷も熱い!日本ハム・大谷翔平投手(22)が6日、ソフトバンク戦に「3番・DH」で出場し、自身2年ぶりの1試合2本塁打をマーク。3回に左翼席へ詰まりながら15号2ランを運ぶと、7回には中堅左に豪快な16号2ランを放った。2安打4打点の活躍で、ソフトバンクの優勝マジック点灯を阻止。今季16本塁打中8発を宿敵から放っている大谷が、五輪にも負けないドラマをつくっていく。

 力で持っていった。悠然とダイヤモンドを一周し、ベンチ前に戻ったところで大谷の表情が緩んだ。左手を上下に揺らし、「しびれた~」とのジェスチャーでおどけた。

 「真っすぐ待ちだったけど、だいぶ詰まった。差し込まれていたので、スタンドには入らないかと。たまたまだけど、結果的には良かった」

 1点リードの3回無死一塁、1ボール1ストライクから千賀の148キロ直球を叩いた。真ん中寄りに入ってきた高めのボール気味の球を、逆方向へ左手で押し込んだ。ホームランテラスへ飛び込む15号2ラン。左翼は今季6本目で左中間も含めれば10本と、得意の方向にアーチをかけた。

 負けか引き分けでソフトバンクにマジック点灯を許す一戦で、しかも相手先発は開幕8連勝中の千賀。大谷も初回1死三塁では内角高めの151キロ直球に空振り三振に倒れ、この時点では通算5打数5三振だった。それでもチーム全体で球数を投げさせようと束になって向かっていく姿勢に応えた。3回は先頭・中島がフルカウントから5球連続ファウルで粘り、13球目で四球を選んだ。その直後の一発。「卓さん(中島)が粘ってくれたので(ネクストバッターズサークルから)球をたくさん見ることができた」と、ギリギリまで球を呼び込んで振り抜いた。

 1本目が振り遅れた「たまたま」の一発なら、2本目は完璧な弾道を描いた。7回1死二塁で、2番手の左腕・嘉弥真の内角直球をバックスクリーン左へ。20歳の誕生日だった14年7月5日ロッテ戦(QVCマリン)以来、自身2年ぶりのマルチ本塁打。「2本目の方が感じは良かった」。規定打席にははるかに足りないが、16号は同僚・中田らに並んだ。うち半分の8本がソフトバンク戦。マジック点灯を阻止する価値ある2発だった。

 日本の裏側では、リオ五輪が開幕。スポーツ万能の大谷は、少年時代から五輪に興味を持っていた。「水泳をやっていたので、テレビをよく見ていた。あとは体操。(アテネ五輪で)団体が金メダルを獲った時はメディアの取り上げ方も凄かった」。2年前、東京ドームで体操男子の絶対エース・内村航平が始球式で訪れた時には、大谷もベンチ裏でまるで子供がヒーローを見るようなまなざしを送った。

 首位とは再び5ゲーム差に縮めた。「明日が大事。何とか必死に取りにいく」。熱パの灯は消さない。世間が五輪で盛り上がっても、野球界には大谷がいる。 (横市 勇)

 ▼日本ハム・栗山監督(大谷について)ロッテ戦(4日に3三振)の悔しさがあるんだろうね。まだまだ大きくなる。前日の二盗もそうだが、そんな姿がいい。褒めないけれど尊敬している。

 ≪驚異の本塁打率≫大谷(日)が15、16号。自身1試合2本塁打は14年7月5日ロッテ戦に次いで2度目になる。これで今季ソフトバンク戦は8本目。このカードではレアード(日)の7本を上回り最も多い。大谷は今季220打席(182打数)で規定打席に足りないが、16本と量産。日本ハムで規定未満で15本以上は05年新庄が20本塁打して以来11年ぶりだ。今季大谷が本塁打1本に要する打数(本塁打率)は11・38。パの規定打席未満で本塁打率の高い打者を出すと、88年ブライアント(近鉄)の7・85がトップ。大谷は現在、80年落合(ロ)の11・07に次ぎ11位相当に位置するが今後どうなるか。

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