中畑清氏 侍ジャパンは野球の面白さを世界に伝えて

[ 2016年8月6日 10:50 ]

中畑氏

五輪野球復活 東京への提言

 野球競技が2020年東京五輪の追加種目に決まった。3大会ぶりの復帰で正式競技として初の金メダルを目指すと同時に、20年以降の競技存続も新たな課題となり、これまで五輪に出場した指揮官や選手による提言を3回にわたって連載する。第2回は04年のアテネ五輪で監督代行として指揮を執った中畑清氏(62=スポニチ本紙評論家)。

 ――20年東京五輪での野球競技復活が決まりました。

 「よかったねえ。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は野球が盛んな国だけでやってるけど、五輪は予選からたくさんの国や地域が参加する。野球というスポーツを世界にアピールする最高のチャンスなんだよね」

 ――五輪競技を東京大会以降も継続していくには?

 「“野球って何?”という国に凄いスポーツなんだってことを認知してもらわないとね。20年は日本から、東京から発信していくわけだから、侍ジャパンに圧倒的な力で野球の面白さを伝えてもらいたい。米国みたいに“五輪なんて…”と大リーガーを出さない国を見返してやらなきゃ」

 ――侍ジャパンへの期待は大きい。

 「そりゃそうだよ。トップチームから社会人、23U(23歳以下)、大学、18U、15U、12U、さらに女子まで全ての世代が同じユニホームを着て“世界最強”を目指すのが侍ジャパン。バラバラだったプロとアマがひとつになって2012年に常設化されて、形が整いつつある。ピラミッドの底辺から頂点までニッポン野球の全ての力が結集する五輪にしてほしいね」

 ――指揮を執った04年アテネ五輪は、準決勝でオーストラリアに敗れ銅メダル。1球団2人ずつという制約もありました。

 「それを言っちゃおしまいよ。オーストラリアはノーマークで、“どうやっても負けることはない”というスコアラーの報告をうのみにした私の責任。パドレス傘下の3Aで投げていた先発のオクスプリングの荒れ球を打てなかった」

 ――予選リーグを1位通過して準決勝はナイターのはずが、テレビ中継の都合で炎天下のデーゲームにされたということも…。

 「それも言い訳になる。20年の東京は時差がないから心配ない。とにかくみんなで侍ジャパンを盛り上げようよ。リーグも球団も侍を最優先して全面バックアップ。トップチームに選ばれた選手は誇りを持って頂点を目指してもらいたい」。(聞き手・永瀬 郷太郎)

 ≪アテネ五輪VTR≫アマプロ混成で臨んだ00年シドニー五輪でメダルを逃し、初めて全選手プロの代表を編成した。アジア予選全勝で出場権を得たが、本大会を控えた04年3月に長嶋監督が病に倒れ、中畑ヘッド兼打撃コーチが代行で指揮。予選リーグを6勝1敗で1位通過して臨んだ準決勝で、オーストラリアに0―1で敗れた。3位決定戦でカナダを破り銅メダル。

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2016年8月6日のニュース