鳥谷 2安打&好守!金本監督、先発復帰には慎重「出て負け始めたら…」

[ 2016年8月3日 07:46 ]

<D・神>7回無死一、三塁、右前適時打を放った阪神代打・鳥谷

セ・リーグ 阪神6―2DeNA

(8月2日 横浜)
 阪神・鳥谷敬内野手(35)が夏の長期ロードの白星発進を呼んだ。8試合連続で先発を外れた2日のDeNA戦(横浜)。1―1の7回無死一、三塁から代打登場して一時勝ち越しの右前適時打を放てば、2―2の9回無死一塁では左中間二塁打で好機を広げて一挙4得点につなげた。猛虎のキャプテンとして完全復活へ近づく活躍を演じ、3連勝に貢献。7月7日以来の借金9へ戻した。

 誰もが切望する完全復活へ、また一歩前進した。同点に追いついた7回なおも無死一、三塁。代打で送り出された鳥谷は3ボール1ストライクからの5球目、久保康の真ん中低め変化球を鋭く右前へはじき返した。

 「同点だったのでね。何とかバットに当てようという思いでした」。

 三塁から原口が生還し、一時は勝ち越しを決めた。7月24日から続く先発落ちは8試合まで伸びた一方、代打成績は6打数4安打2打点の勝負強さを誇る。しかも、この一打だけでは終わらない。追いつかれた直後の9回にも見せ場は訪れた。

 「バントじゃなく、打ての指示だったんで。転がして、最悪、自分が塁に残るつもりだった」。

 無死一塁で山崎康に2球で追い込まれた後、3球目の真ん中低めツーシームを逃さなかった。ライナー性の白球は左中間への二塁打。二、三塁へ好機を広げ、一挙4得点を呼んだ。

 1試合2安打は連続フルイニング出場中だった7月22日の広島戦(マツダ)以来。金本監督も「ライナー性の彼らしい良い打球が、どんどん出ている」と確かな上昇を感じ取った。復調著しいだけに次の焦点は先発復帰の時期だ。

 「前にも言ったけど、いつ戻すかというタイミングがなかなかちょっとね。簡単に戻して、ダメだったから簡単に下げるとかは避けたい。彼が出始めて負け始めるということが、もし起こった時にね。一番、彼がね。かなりショックなことに…ね。そこを一番、心配している。戻したいのはヤマヤマだから」。

 確かに先発を外れて以降、チームは7勝1敗。最大15まで膨らんだ借金も9まで減った。せっかく生まれた浮上の“空気”をどう持続させるか。先発に戻る際に鳥谷にかかる心理的な重圧も考慮すれば、なおさら簡単には答えを出せない。復帰時期を慎重に見定めるプロセスは最大限の敬意の証しとも言えた。

 8回の守備では筒香の強烈なゴロを好処理して失点を防いだ。「来そうだな、と。いつもよりは(右へ)寄っていました」。ベンチからの指示よりもさらに二塁ベース寄りに守ったのは待機中の鋭い観察眼があったからだ。たとえグラウンドに立っていなくても準備は怠らない。「後から行くのが仕事なんで。しっかり準備するだけです」。鳥谷の攻守両面の貢献が長期ロード初戦の逆転劇をもたらした。(森田 尚忠)

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