【埼玉】巨人GM絶賛!花咲徳栄・高橋昂 37イニング無失点で頂点

[ 2016年7月28日 05:30 ]

<花咲徳栄・聖望学園>完封で甲子園出場を決め雄叫びを上げる高橋昴(左から2人目)ら花咲徳栄ナイン

第98回全国高校野球選手権埼玉大会決勝 花咲徳栄6―0聖望学園

(7月27日 大宮公園)
 6点リードしていても、1点も許すつもりはなかった。花咲徳栄・高橋昂は、その1点で流れが変わることを知っていた。だから力でねじ伏せにいった。

 「1点やったらそのままやられる」。9回2死三塁。気合を入れなおした。最後の打者を2球で追い込み、吠えた。得意のフォークで見逃し3球三振。両手を突き上げまた吠えた。今大会52個目の三振だったが初めて狙って奪ったものだった。

 「(無失点は)勝つことを優先して後からついてきた結果。自分の投球ができてよかった」。今大会6試合で3度完封(6回参考の完全試合含む)し、37回連続無失点で頂点までたどり着いた。

 今春センバツの屈辱からはい上がった。初戦の秀岳館(熊本)戦で6回10安打6失点。センバツ後は連日100球を投げ込んで自らを追い込んだが、オーバーワークがたたって背筋を痛めた。岩井隆監督は「真面目な性格だから、春の故障も投げすぎが原因」と振り返り、こう助言した。

 「“力を入れる”、“抜く”を考えろ」――。ヤンキース・田中らプロの一流投手が実践するメリハリをつけた投球。エースはその言葉を言い聞かせた。センバツ後、自宅から9キロある学校までリュックを背負って走って通った成果で尻から太腿にかけて一回り大きくなった。上体に頼らず下半身主導のフォームとなり、体力を温存できるようにもなった。この日の最速は148キロ。自己最速に2キロ及ばず、三振も4個と少なかったが、今大会の奪三振率は実に12・65を記録した。

 ネット裏では5球団のスカウトが視察し、巨人の堤辰佳GMは「高校生の左であれだけ投げられるのはそういない。うちのリストにはあるし、注目している」と絶賛した。評価が急上昇した「埼玉のドクターK」。埼玉県勢初の夏の甲子園制覇へ「一つ一つしっかり丁寧に。自分の投球をする」と静かに闘志を燃やした。 (松井 いつき)

 ◆高橋 昂也(たかはし・こうや)1998年(平10)9月27日、埼玉県生まれの17歳。小3から栗橋ジャイアンツで野球を始める。栗橋東中では久喜シニアに所属。花咲徳栄では1年秋からベンチ入り。昨夏甲子園は3試合に救援登板し、8強入りに貢献。家族は両親と姉。1メートル81、83キロ。左投げ左打ち。

 ▽花咲徳栄(埼玉)空手や競泳なども強い。ボクシングの内山高志はOB。

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