200勝に入らない歴史的一戦 黒田の米国最終登板となったジーター引退試合

[ 2016年7月24日 10:11 ]

右前サヨナラ適時打を放ち、先発・黒田(左)に祝福されるデレク・ジーター内野手

 同学年の現役野球選手は残りわずかだ。1974年9月生まれで今年42歳となる記者の同い年のプロ野球選手の筆頭は、松井秀喜氏。主な現役選手は中日・岩瀬、ロッテ・井口、そして75年の早生まれの広島・黒田だ。

 23日。黒田が日米通算200勝を挙げた。同学年の記者が生で観戦し、最も印象に残っている黒田の試合がある。米国時間14年9月25日、ヤンキースタジアムでのオリオールズ戦。残念ながらメジャー通算80勝目を逃し、米国での最終登板となった試合だ。

 「この試合のマウンドに立てたことが。本当に自分の野球人生で幸せな試合だった」。

 試合後、黒田はこうコメントした。8回2失点ながら、勝ち星がつかなかったにも関わらず…。なぜか?。世界的に言えばこういう試合だった。「デレク・ジーターのヤンキースタジアム現役最終戦」。そう、ジーターが劇的なサヨナラ安打を放った試合。ヤ軍先発は黒田だったのだ。

 初回に連続ソロを浴び2失点。だが3回途中から16者連続アウトに仕留めるなど、抜群の内容だった。5―2と3点をリードした9回の直前。黒田はジョー・ジラルディ監督から9回途中でファンに見送られながらの降板することを提案されたが「僕の日ではない」と固辞した。その9回。抑えのロバートソンがまさかの3失点で同点。ジーターの本拠地最終戦に華を添えるはずだった、黒田の米国通算80勝目が消えた。

 だが、同点とされたことでさらなるドラマが生まれた。9回裏。ジーターの本拠地での現役最終戦でのサヨナラ打が生まれたのだ。試合後のロッカールームで黒田がハグを交わしたジーターも、74年生まれで黒田と同学年。200勝にはカウントされないが、思い出深い登板の1つ。200勝に沸くマツダの光景を見ながら、そう思った。(春川 英樹)

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2016年7月24日のニュース