大谷はライバル JR九州・佐野V打「小学生から凄いやつだった」

[ 2016年7月23日 05:30 ]

<JR九州・ヤマハ>4回無死二、三塁、JR九州・佐野(左)は勝ち越し適時打を放ちガッツポーズ

第87回都市対抗野球第8日2回戦 JR九州9―1ヤマハ

(7月22日 東京ドーム)
 主砲の仕事だ。4回、同点に追い付いてなお無死二、三塁。JR九州・佐野の打球は詰まりながら前進守備の内野を越え、勝ち越しの左前打となった。「渋い当たりですけど打ててよかった」。この回2本塁打を含む4安打6得点の逆転劇を演出した。

 5回も1死二、三塁で右前へ2点適時打を放った。「先制されたが後半に返せると信じていた」。捕手としても初戦・東芝戦の完封勝利に続いての好リード。「4番・捕手」の先輩であり、4回に右越え3ランを放ったコーチ兼任の中野から「一戦一戦成長している」と合格点を与えられた。

 佐野には忘れられない夏がある。12年夏の甲子園岩手大会の準決勝。一関学院の主砲だった佐野は、花巻東戦の6回先頭の打席で大谷の速球を中前打。2死二、三塁の好機につなげた。この場面で大谷が投じたのが高校最速の160キロ。試合には敗れたが、怪物を目覚めさせる一打となった。

 同学年の大谷は小学生からの友人でライバル。佐野の宮城・黒松フレンズと大谷の岩手・水沢リトルは合宿で対戦を重ねた。佐野は「小学生から凄いやつだった」と振り返る。伝説の1球は三塁走者として目撃。二刀流で活躍する今の大谷は「遠い存在」だが、佐野自身も社会人の強豪チームで成長を続ける。「上の舞台(プロ)に行けるなら力を試したい」。もう一度、ライバルとの対決も夢見る。

 JR九州では小倉駅で改札業務を行う。今大会は九州地区予選中、ウイルスが原因の高熱で宮崎市内の病院に緊急入院。「迷惑を掛けた分を返したい」。高校では大谷に阻まれた全国の舞台。佐野は存分に暴れるつもりだ。 (君島 圭介)

 ◆佐野 洋樹(さの・ひろき)1994年(平6)6月24日、宮城県出身の22歳。仙台市の黒松フレンズで野球を始める。一関学院(岩手)2年秋から「4番・捕手」。3年春に東北大会8強。高校通算11本塁打でプロの注目を浴びた。13年JR九州入社。1メートル80、76キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2016年7月23日のニュース