【それぞれの夏】県川崎 家計も支えた唯一の3年部員・大庭佳 完全燃焼

[ 2016年7月18日 08:32 ]

<県川崎・横須賀>捕球する県川崎の左翼手・大庭

第98回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦  県川崎2―3横須賀

(7月17日 小田原)
 5回、県川崎の最後の打者は唯一の3年生部員、大庭佳だった。見逃し三振。2―13のコールド負けだった。「負けて悔しいけど点を取ってくれて良かった。大変だった。でも楽しかったし、後悔はないです」。目に涙が浮かんだ。

 病床に伏した父に代わり、生活費を稼いだ。県川崎の定時制に通い、都内のそば屋と川崎市内のコンビニで週6日掛け持ちのアルバイトしながら部活にも取り組んだ。

 野球部でも苦労の連続だった。1年夏後には部員が大庭一人になった。2年春からはなんとか部員を確保したが公式戦出場には人数が足りない。一般生徒に助っ人を頼んだり、練習試合では相手校から選手を借りたこともあった。

 昨夏には練習試合で大敗したことをきっかけに、大庭自身が一時退部した。それでも周囲に説得されて今春、古川雅一監督に頭を下げて復帰。メンバーが揃って練習出来る2時間を「悔いは残したくない」と真剣に取り組んだ。「部に復帰した時、チームが温かく迎えてくれた。みんなで大会に出場することができて良かった」と晴れやかな表情だった。

 野球はこれで最後。中国に在住していた経験を生かし「将来は通訳になりたい」と夢を語る。今後は専門学校に進んで、勉強するつもりだ。(藤原 諄也)

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