【東東京】都小山台 初回0―10からミラクル大逆転劇

[ 2016年7月16日 05:30 ]

ナインと喜び合う都小山台・矢崎(左から3人目)

第98回全国高校野球選手権東東京大会3回戦 都小山台14―12立教池袋

(7月15日 神宮第2)
 地獄から天国へ。奇跡の大逆転勝ちだった。都小山台は初回に10点を失うが、ジワジワと追い上げる。8―11で迎えた8回1死満塁。宮川が高め直球を振り抜くと、打球は左翼席奥の防球ネットに当たった。人生初という逆転満塁本塁打。一塁側スタンドから歓喜の雄叫びが湧き起こった。

 「(本塁打は)よく覚えていない。(逆転して)ついに来たかと思った。出来過ぎだと思う」

 絶望的な10点差から驚異の逆転を成し遂げ、福嶋正信監督は「もう負けかと思ったが奇跡が起きた。本当に奇跡だ」と何度も「奇跡」を繰り返した。最大の要因となったのが恵みの「雨」だ。2―10の3回2死満塁、3ボール2ストライクのピンチで雨のため試合は中断。1時間17分の中断中に、指揮官はナインに語りかけた。

 「雨降れではなく再開しろと思え。星稜高校の逆転劇もあるんだから。大逆転劇を起こすぞ!」

 2年前の夏の石川大会決勝。星稜は9回に0―8から小松大谷に逆転サヨナラ勝ちして甲子園出場を決めた。選手も同じ思いだった。星稜の試合を知っていた宮川は「(初回は)正直やばいなと思ったけど、まだいけると思っていた。ノーゲームは全く考えなかった」と語る。

 2―11の4回に3点、5回と6回にも1点ずつ加え、8回に打者10人の猛攻で6点を奪い、ついに逆転。投げては0―9の初回2死二塁から2番手で登板した1メートル85の長身右腕・矢崎が8回1/3を4安打2失点に抑えた。3時間に及ぶ熱戦を14―12で制すると右拳を振り上げ「全員が逆転できると信じていた。ノリノリだった」と笑った。

 福嶋監督は「全員でホームランを打った。全員で投げた。全員の力で勝った」とうなずいた。14年センバツに21世紀枠で甲子園初出場。都立の星、ミラクル小山台が初となる夏の聖地まで突っ走る。

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