【岩手】高田 “新たな歴史”刻め 28年前甲子園出場OBがエール

[ 2016年7月14日 09:42 ]

<水沢農・高田>佐々木貫の父・猛さん

復興へのプレーボール 第98回全国高校野球選手権岩手大会2回戦 高田13―0水沢農

(7月13日 花巻)
 88年夏に甲子園出場した高田高校野球部OBが、後輩たちにエールを送った。当時、背番号12の控え投手だった佐々木猛さん(45)は「客観的に見て、今のチームの方が強い。体格も私たちよりも全然いい」と目を細める。この日はスタンドで観戦して「このユニホームを見ると当時を思い出す」と懐かしんだ。

 28年前。滝川二との1回戦は3―9の8回に降雨コールドで敗れた。故阿久悠氏は本紙「甲子園の詩」に「甲子園に1イニングの貸しがある そして 青空と太陽の貸しがある」と記した。2年前に佐々木さんの長男・貫太が母校野球部の一員になったが「“おまえたちにはおまえたちの甲子園があるんだよ”と。1イニングの貸しは背負わせたくない」と新たな歴史を刻むことを望んだ。

 5年前の震災で自宅は全壊。現在も仮設住宅暮らしが続く。コーチを務める米崎スポーツ少年団には、全国から野球用具が届けられ「本当に助けられた。どうやって恩返しができるかを考えている」。息子にも、恩返しができる大人になってほしいと話す。

 滝川二戦で先制中前打を放った尾形良一さん(46)は「今年はシード校になったし、選手の思いが一つになっているように感じる」と躍進を喜ぶ。当時のメンバーとは年に数回、顔を合わせるが「高校時代に走った高田の砂浜は(震災で)なくなったが、話し続けることで記憶を残したい」と言う。

 「太陽」と名付けた長男は今夏、盛岡三の捕手として、チームをけん引している。母校と決勝で対戦することになれば胸中は複雑だが「高田OBとしては行けるところまで行ってほしい」と聖地出場を願った。 (川島 毅洋)

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