阪神・原口 救った!3番江越の代打で同点打から逆転 指揮官「こじ開けて」

[ 2016年7月13日 05:30 ]

<ヤ・神>8回1死一、二塁、原口は中前に同点適時打を放つ

セ・リーグ 阪神3―1ヤクルト

(7月12日 長野)
 阪神・原口文仁捕手(24)が12日のヤクルト戦(長野)でチームに24イニングぶりの得点を呼んだ。8回1死一、二塁で代打登場して起死回生の中前同点打。3番起用した江越に犠打を命じ、代打を送るなどした金本知憲監督(48)の苦心の采配に応えた。殊勲の一打が一挙3得点につながって逆転勝利。13日の前半戦最終戦も勝って後半戦の逆襲へ弾みをつけたい。

 逆転勝利の後、金本監督の発した言葉がすべてだった。「あと一本がチャンスで出なかった。重い扉を原口がこじ開けてくれた」。0―1で迎えた8回1死一、二塁。3番・江越の代打として起用された原口が見事に期待に見事に応えた。

 「良いところで打てて良かったです。ポイントを近くして粘っていました。最後は真っすぐ一本に絞っていました」

 研ぎ澄まされた集中力と捕手ならではの読みが殊勲の一打を生んだ。3ボール1ストライクから3球連続でファウル。8球目も平井が投じた外角高めにやや振り遅れ、右翼方向へのファウルになっていた。

 「右へファウルが飛んだので、真っすぐしかない、と」

 マスク越しに反応をうかがうヤクルト・中村の頭脳を逆手に取った。タイミングの取り方に微修正を施した9球目、またも投げ込まれた外角低めへの直球を中前へとはじき返した。同点打で流れは一気に虎へ傾き、6月3日・西武戦(甲子園)の4回以来となる一挙3得点。監督推薦で今夏球宴に選んでくれたヤクルト・真中監督にあいさつに出向いた。打席でも御礼の強打で敵将に実力を印象づけた。

 金本監督にとっても苦しい一戦だった。2回に先制を許した後、好機はあっても決定打が出ない。前日11日の指名練習では徹底指導するなど期待を込めて3番で起用した江越は先発の山中に全くタイミングが合わず、1、2打席とも凡退。3打席目の6回無死一塁では送りバントを命じていた。もちろん、「超変革」掲げる指揮官が目指すところの作戦ではない。そんなモヤモヤを、原口の快音がすべて振り払ってくれた。

 「彼の集中力。ここ一番でね。この間も粘って、粘って十数球粘って四球を奪ったりね。打席での球際の集中力。そういうものがすごく大事になってくる。試合になると。そういうものを見せてくれている」

 代打の切り札・狩野の選択肢もあった中で原口を送り出したのは確固たる信念に基づいたものだった。8日からの広島3連戦では3連敗を喫し、借金は12まで膨らんでいた。これで5位・ヤクルトとは0・5差。後半戦へ弾みをつけるためにも連勝あるのみ。敵地・神宮でスカッと勝って、巻き返しの起点をつくりたい。 (森田 尚忠)

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