【栃木】“サニブラウンに勝った男”佐野日大・五十幡 超速ホームイン

[ 2016年7月13日 05:30 ]

<佐野日大・今市>初回無死、佐野日大・小島の右飛で二走・五十幡が三進する

第98回全国高校野球選手権栃木大会1回戦 佐野日大10―0今市

(7月12日 宇都宮清原)
 第98回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の地方大会は12日、30大会で269試合が行われた。栃木大会では佐野日大が今市を下して初戦突破。中学時代に陸上の全国大会でサニブラウン(東京・城西高3年)に勝った1番の五十幡亮汰内野手(3年)が二盗を決めて先制ホームを踏み、勝利に貢献した。神奈川大会では元中日・山本昌氏(50)の母校、日大藤沢の左腕エース・大倉和樹投手(3年)が西湘との初戦で完封勝利を挙げた。13日は、35大会320試合が行われる。

 今夏初戦。1番の五十幡はいきなり日本一のダッシュを披露した。初回先頭で四球を選び、次打者の2球目にスタートを切った。余裕を持って二盗を決めると、さらに右飛で三塁に進塁。3番・中山和の三塁打で生還し、試合開始わずか4分で先制のホームを踏んだ。

 「塁に出たらいつでも次の塁を狙っている。多少遅れてもいいという意識で走った。しっかり決められてよかった」

 長野中では東京神宮シニアで野球をしながら「野球に生かすため」と平日は陸上部で練習。3年時に100メートルと200メートルの全国2冠に輝き、昨夏の世界選手権200メートルに史上最年少出場のサニブラウンを退けた。今でも「スタートは勝てると思う」と自信を持つ“ロケットスタート”で打線に火をつけ、10―0で6回コールド勝ち。五十幡は無安打だったが、監督歴40年の松本弘司監督は「見てきた中で特別速い。斬り込み隊長で勇気づけてくれた」と称えた。

 数々の伝説を残す。

 (1)小6で12秒 行田東小6年時に行田地域の運動会にランニングシューズで出場し、12秒台で優勝した。

 (2)靴脱げてもV 小1から学年別の校内マラソン大会6連覇。小4の時は、スタート直後に靴が脱げながらも新記録で優勝した。

 (3)10秒79 中1で100メートル11秒台に突入し、中3で自己ベストの10秒79をマーク。50メートル走は体育の授業で5秒6。

 中3時に侍ジャパン15U日本代表に選ばれた日本一速い中学生は「迷いなく野球一本に決めた」と佐野日大に進学。盗塁技術を高めるために守る側からも参考にしようと、年明けから中堅から遊撃に転向した。「道は分かれるけど、お互い頑張ろう」と健闘を誓い合ったサニブラウンの活躍に刺激を受け「負けないように最後の夏は甲子園に行きたい」と気合十分。初めての夢舞台まで駆け抜ける。 (青木 貴紀)

 ▽13年全日本中学校陸上競技選手権大会(愛知) 五十幡は8月22日に行われた100メートル決勝で10秒92をマークして優勝。向かい風1・0メートルの条件下だった。前日の200メートル決勝でも追い風0・9メートルの中、21秒81で制し2冠。城西中(東京)のサニブラウンは200メートルは21秒85で2位、100メートルは10秒97で3位だった。

 ◆五十幡 亮汰(いそばた・りょうた)1998年(平10)11月27日、埼玉県生まれの17歳。小1から行田東フェニックスで軟式野球を始め、長野中では東京神宮シニアに所属。佐野日大では1年夏から外野手としてベンチ入りし、今春から遊撃手に転向。1メートル72、65キロ。家族は父、姉。右投げ左打ち。

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2016年7月13日のニュース