日本人らしさとは…高校球児のお辞儀で思い出したイチローの言葉

[ 2016年7月11日 11:40 ]

2015年1月、マーリンズ入団会見でお茶を飲み、咳き込むイチロー

 甲子園を目指した各都道府県大会が全国各地で熱い戦いを繰り広げている。9日、埼玉大会の新座柳瀬―越谷総合技術の開幕試合を取材した。試合後に両校の選手が、駆けつけてくれた応援団や家族らに向かって何度もきれいにお辞儀をしていた。その姿が印象に残った。

 そこでふとマーリンズ・イチローの言葉を思い出した。15年1月。メジャー3球団目となるマーリンズに入団が決まったイチローの日本での入団会見での出来事だった。会見後の取材中に自ら湯飲み茶わんにお茶を注ぎながら、「こういうのって(歌舞伎俳優の)海老蔵さんとか凄くきれいにやるんだろうね。いいよね、あの所作って。僕こうやって肘ついて飲んでいますから」と漏らした。メジャーでのプレーは今年で16年目。米国での生活が長くなると、日本人らしい所作が目につくんだと想像した。記者も最近の取材現場は大リーグ中心とあり、冒頭の光景が印象的だった。

 よく「高校野球は教育の一環」という言葉が使われる。きれいなお辞儀や気持ちのいいあいさつ、礼儀正しい振る舞いを見ると、こちら側の気持ちも清々しくなる。甲子園に出るのは1つの目標ではあるが、高校野球はそれだけが全てではない。卒業後の次のステージで活躍するための人間形成の場として非常に重要な役割を果たしているなと、きれいに並べられたグラブとスパイクを見て感じた。

 大リーグのベンチ内に吐き捨てられたガムを踏んづけた経験のある記者の恨みではないが、日米の試合後のベンチの汚れ方の差は一目瞭然。14年に取材した日米野球でも、きれいに使用された日本側に対し、紙コップなどが散乱していた米国ベンチとのコントラストが思い返される。文化の違いといえばそれまでだが、球児には世界に誇れる日本人らしい所作を今後も大事にしていってもらいたい。記者も元球児。原点に立ち返らせてくれた高校野球取材だった。(記者コラム・東尾 洋樹)

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