【中畑清の視点】巨人・阿部の“意地”のけぞらされたら黙ってない

[ 2016年7月7日 12:00 ]

<巨・神>6回1死満塁、阿部は中前に決勝の2点適時打を放つ

セ・リーグ 巨人3―1阪神

(7月6日 東京D)
 慎之助は阪神バッテリーに感謝しなくちゃいけないな。1―1で迎えた6回1死満塁。その初球だ。胸元の真っすぐ。当たれば押し出し死球というリスクを恐れない見事な投げっぷり。ネット裏で興奮したよ。慎之助は、それ以上にバットマンとしての魂に火を付けられたんじゃないかな。

 前の2打席はいずれも空振り三振。岩崎の球威に完全に押されていた。その上で満塁の第3打席、初球にのけぞらされたら、黙っちゃいられない。カウント2―2からの5球目。外角の見逃せばボールの真っすぐに食らいついた。センターへ抜ける勝ち越しタイムリー。なぜ内角で勝負しなかったのか。私の中では阪神バッテリーの選択に悔いが残るが、投げも投げたり打ちも打ったり。勢いのある若手投手と円熟味あふれるベテラン打者。すがすがしい対決だった。

 慎之助の状態は決していいとは言えない。真っすぐに差し込まれるケースが目立っている。あの場面も内角を攻められていたらどんな結果になったか分からない。それでも、ここぞの集中力、バットコントロール。まだまだ巨人打線を引っ張るのは俺だっていう意地を見せてもらった。(スポニチ本紙評論家)

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