阪神・中谷 プロ初4安打 前日、試合後に居残り練習

[ 2016年7月7日 06:45 ]

<巨・神>8回1死二塁、中谷はこの日4安打目となる右前打を放つ

セ・リーグ 阪神1―3巨人

(7月6日 東京D)
 最後まで反攻の火を消さなかった。下降線をたどるチームで、阪神・中谷の名前が急上昇中だ。宿敵相手に4打数4安打と大暴れ。勝利には結び付かなかったが関東の虎党に、はっきりと存在を知らしめた。

 「(4安打に)きょうは良い感じでしたね。次につながります」

 第1打席からギアは全開だった。2回の第1打席、2死一塁からチーム初安打となる中前打でチャンス拡大に貢献。2、3打席はいずれも左前打を放ち、6月24日の広島戦以来(マツダ)となる2度目の猛打賞をマーク。攻略に苦しんだ田口を完全にカモにした。

 そして締めくくりは2点劣勢の8回だ。1死二塁とし、マウンドに対峙(たいじ)するのは剛腕のマシソン。追い込まれてからの5球目外角スライダーに食らいついた。「良いところに飛んでくれました」と、バットの先でとらえた打球は、右翼手・長野の前にポトリ。一、三塁とまたも好機を演出し、終盤まで気を吐き続けた。

 「深く考えすぎず、シンプルに(相手投手と)勝負することですね」

 そう好調の秘けつを分析する。背水で迎えたプロ6年目のシーズンを支えるのは“自戒の念”だ。昨年5月9日の広島戦(甲子園)で代打出場すると、センターへプロ初安打をマーク。一躍ブレイクの予感は高まったが、その後失速。2カ月後、鳴尾浜にいた中谷は歯がゆそうにふり返った。「初ヒットは嬉しかったです。ホッとした所も正直ありました。でも、その安心がいらなかったですね。継続しないと意味がない」。喜びと同時に多少の気のゆるみも生まれた。2安打に終わった昨シーズンの数字に満足がいくわけもない。だから今年は、より目の前の打席に集中する。

 「自分は1打席1打席(勝負)しかない。チームの勝ちに貢献したい」

 敗戦にも前を向き、闘争心は増す一方だ。片岡打撃コーチからも「4打席目は追い込まれてから変化球に付いて行った。ああいうヒットは自信にしてほしい」と称賛された。発展途上の若虎が、次こそ自分のバットで勝利を運んでみせる。(久林 幸平)

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2016年7月7日のニュース