大谷にある夢とロマン、目にすべきは超絶スイングの打撃練習

[ 2016年7月4日 07:40 ]

<ソ・日>1回無死 大谷は初球を叩き先頭打者弾を放つ

 日本ハム・大谷には夢とロマンがある。3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で「1番・投手」で初回に初球を右中間へ10号ソロ。投手の先頭打者アーチは史上初で、投げても8回5安打無失点で今季8勝目を挙げ、チームを14連勝した07年以来、9年ぶりの10連勝に導いた。

 日本ハムの、大谷の担当記者として3年目を迎えるが、最も心躍る瞬間は何か。プロ野球最速記録の163キロと答える記者もいるだろうが、私は打撃練習を推したい。6月9日の日本ハム―広島戦(札幌ドーム)の試合前フリー打撃。大谷が振り抜いた打球はぐんぐん伸び、右翼スタンド最上段奥の通路で大きく弾んだ。推定飛距離150メートルの超特大弾。チーム関係者、報道陣だけでなく、ウオーミングアップ中だった広島の選手たちからも感嘆の声が上がった。

 同22日に横浜スタジアムで行われた全体練習ではビジョン直撃弾4発、右中間場外への特大弾を披露した。「打球を飛ばそうと思って練習はしていない。どういう打ち方をしたら打球は飛ぶのか。そんなことを考えながらやっている。飛ばそうと思ってもボールは飛ばない」。飛距離はもちろん、930グラムの重いマスコットバットであろうといとも簡単にスタンドインを連発する姿にはほれぼれする。球団関係者も「大谷の打撃練習は見てほしい。“お金が取れるショー”だと思っている」と言うほどだ。

 ところが、大谷の打撃練習を一般のファンが見ることができる機会は決して多くない。大谷は原則、登板翌日と登板前2日間は休養に充てる。現在、主に日曜日に登板するため、打者出場は火曜日~木曜日。打撃練習も週にこの3試合の直前に限られる。札幌ドームなど主催試合ではホームチームが先に練習するため、開場時間にはすでに大谷の打撃練習は終わってしまっているのだ。

 6月27日に発表された球宴ファン投票で、パ・リーグの先発投手部門で2年連続2度目の選出(ほか外野手部門で1度)。プロ野球最速記録163キロの更新の期待がかかる一方で、DH部門では中間発表で一時、5位につけた打撃にも期待がかかる。「7月5日までに7本塁打以上」というホームランダービー出場規定をすでに悠々クリアしている。本塁打競争出場選手はNPB公式ホームページで7月5~10日に実施されるファン投票で決定。球団内では「登板翌日は打者出場不可」などのルールがあり、大谷本人も「(本塁打競争の選出は)ないんじゃないですか。投手で選ばれていますし」と言うが、大きな注目が集まる。

 球宴には入団以来4年連続の出場。2年目の14年に当時のプロ野球最速に並ぶ162キロを記録し、昨年はテレビ表示89キロの超遅球で沸かせた。今年は何を見せてくれるのか。栗山監督はホームランダービーについて「あれ、意外と疲れるんだよね」と笑うが、真夏の祭典で大谷の柵越え連発を見てみたい。そして、全国の野球ファンにもっと大谷の凄さを感じて欲しい。それは担当記者だけの勝手な願いではないはずだ。(記者コラム・柳原 直之)

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2016年7月4日のニュース