ファウルボール直接キャッチに興奮も…プロはバッサリ 最善策は“逃げる”

[ 2016年7月2日 09:00 ]

 1000試合以上は野球を生観戦している。ありがたいことに職業柄、球場を訪れる機会は多い。それでも初体験に興奮した。6月4日の交流戦・巨人―日本ハム戦(東京ドーム)で、ファウルボールを直接キャッチしたのだ。

 今シーズンから東京ドームの記者席が三塁側に移動し、左打者のファウルボールが度々飛び込んでくる。違った意味で緊張感のある取材が続く中、日本ハムの谷口が放った打球がライナーで向かってきた。立ち上がってばしっと受け止めた瞬間、観客席からおおっと声が上がった。試合中の打球を捕球し、球場の主役になった錯覚に酔った。試合後には守備位置でその様子を目撃した巨人の某主力選手に「あれ捕ったの誰ですか。凄いですね」と言葉をもらえた。

 右利きなのに右手のひらに衝撃が残ったのは、野球より経験の長いボクシングのストッピング(右手で相手パンチを受け止める防御技術。ミスミ会長、ご指導ありがとうございます)がとっさに出たのだろう。選手などが小さい子にボールを渡す姿を見て、自分も機会があれば子供にあげようと思っていたが、実際はうれしすぎて大切に家に持ち帰ってしまった。

 ただ後日、他球団の選手に自慢すると「よく素手で捕りますね。僕らだったら逃げますよ」と冷笑された。日本ハムの白井内野守備走塁コーチ兼作戦担当からは「骨折してもおかしくない危険な行為」とバッサリ。札幌ドームでファウルボールが直撃した女性が失明する不幸な事故が起き、各球場では様々な手段で打球の行方に注意を喚起している。

 ではグローブ持参で観戦すべきか。白井コーチは「プロの打球を捕球するのは難しい。捕り損なった場合は周りも危険」という。やはり、最善策は「逃げる」ことだという。グローブは有効だが、あくまで護身手段。球場によってはヘルメットの無料貸し出しも行っている。とくに小さい子供などは最低限、帽子をかぶっておくのがいいだろう。「凄い」と言った巨人選手も言外にあきれた行為という意味を含んでいたのかもしれない。やはり、安全第一。次からは逃げることにしよう。(記者コラム・君島 圭介)

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2016年7月2日のニュース