【大野豊の視点】広島ベンチが流れ作った 中継ぎ安定で積極采配

[ 2016年6月25日 08:40 ]

<広・神>9回途中、雨天コールドで7連勝の緒方監督

セ・リーグ 広島4-2阪神

(6月24日 マツダ)
 決勝点を叩きだした新井のひと振りは素晴らしいの一言だが、広島ベンチが先に動いてその流れを作ったとも言える。

 2―2の6回にジョンソンに代打・天谷を送った。結果は左飛で得点には結びつかなかったもののヘーゲンズ、ジャクソン、中崎と勝ちパターンの継投に持ち込んだ。8回の2得点もルナに赤松、松山に庄司と2人の代走を起用して、それぞれ生還している。両チームを比較して中継ぎ投手に不安の少ない広島の方が代打・代走・継投と動きやすいとは思うが、広島が先に勝負に出て、しっかりとモノにしたゲーム。緒方監督も手応えを感じる1勝だったのではないだろうか。

 7連勝中、先発投手に白星が付いたのは2つ、この日を含めて残り5つは救援陣に白星が付いている。この先、今の貯金を減らさないためには、また2位以下のチームとのゲーム差をさらに広げるためには現状のように中継ぎ投手陣の踏ん張りが必要。近年の広島が失速した原因はリリーフ陣が敗戦投手になるような展開だったが、今年は逆転してリリーフ陣が勝利投手になっている。

 一方の阪神はエース格の藤浪に安定感が見られなかった。真っすぐも変化球も思ったところに制球できていないし、7回2失点と確かに試合は作っているが、球の力と勢いで抑えており、ピッチングにはなっていない。真っすぐがワンバウンドするのは明らかにおかしいし、投球練習から制球が定まっていなかった。技術的にはテークバックした時にリストに力が入りすぎているのだろう。そこからトップに戻ってこないまま投球するのでリリースポイントにバラツキが見られる。14勝した昨年には見られなかった腕の振りだ。

 打線は主力選手が並んだ1番から5番が引っ張らないと苦しい。その土台があって北條、中谷、梅野ら若い選手が続く形になれば勢いも出てくる。そういう意味で不振だった鳥谷が1安打、ゴメスも2安打して、きょう以降に楽しみな部分がないわけでは決してない。(スポニチ本紙評論家)

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2016年6月25日のニュース