「あきらめるな!」鬼ゲキに金本チルドレン「何が、何でもと…」

[ 2016年6月20日 08:50 ]

<神・ソ>7回裏無死二塁、伊藤隼は二ゴロに倒れるも、一塁にヘッドスライディングし執念を見せる(右上は金本監督)

交流戦 阪神4-8ソフトバンク

(6月19日 甲子園)
 阪神の金本知憲監督(48)が19日、ソフトバンク戦(甲子園)で虎打線に猛ゲキを飛ばした。「あきらめるな!」。7回攻撃前の円陣で奮起を促し、直後に3安打で2点を返し、最終9回にも2得点と意地を見せた。王者に連敗して今季最多借金「5」の苦境で、今日20日は交流戦最終戦のオリックス戦(甲子園)に臨む。闘魂を注入された猛虎の底力が試される。

 居ても立ってもいられなかった。悪天候で試合開始は12分遅れ、4回に降雨により9分間の中断を挟んだ。雨にぬれながらも勝利を信じる虎党の声援は響き続ける。沈黙を続ける打線に、もどかしさをこらえ切れない金本監督が立ち上がった。

 「あきらめる点数じゃない!と。7回で5点差。あきらめるような、淡々とプレーするような選手はいらない!そういうことは言った。一番、欠けているところなんで」

 試合後に指揮官は冷静に振り返るものの、虎戦士を前にした表情は鬼気迫るものだった。5点を追う7回の攻撃前。ベンチ前に選手を集めて円陣を組んだ。中心で指揮官が強い口調で鼓舞した。

 「あきらめるな!」

 この日は打撃不振のゴメスをスタメンから外した。4月10日の広島戦以来となる国産打線は6回まで4安打無得点。その結果以上に闘争心の見えない姿に我慢の限界だった。自らもベンチ内で立ち上がり、前のめりに戦う姿勢を全身で示した。

 「相手は、どこであれ関係ない。絶対にまだまだあきらめないという気持ちをね。向かっていく姿勢というか。そこが原点だと思う。(うちは)弱いチームなんだから」

 技術や結果ではなく反骨心を求めた。その猛ゲキに金本チルドレンが応えた。先頭打者の原口が左翼線への二塁打で出塁。続く伊藤隼は二ゴロも一塁へのヘッドスライディングで気迫をみせた。なおも1死二塁。7回表からプロ初めて一塁手として途中出場した中谷が高めの146キロを打ち返した。中堅フェンスを直撃する適時二塁打で反撃ののろしを上げた。

 「何が、何でもと思って。とにかく食らいついていくしかなかった」

 プロ初の長打&打点は中谷の執念だった。これに北條も続いた。7球粘った末に左前適時打を記録。「点差が開いていたので攻める気持ちを持っていった」。出場12試合ぶりの猛打賞で奮闘。9回にも中谷、北條の連打に加え、西岡の中前適時打も飛び出した。

 「執念とか、そういう気持ちとかを大事にしないと前には進まない。強くはなっていかない」

 敗戦後も指揮官は技術論は口にしなかった。チームは連敗で今季最多の借金5。首位の広島とは8ゲーム差に開いた。しかし戦いは続く。この日の一戦をシーズン全体にも置き換えた。「あきらめるな!」。苦境に立たされる金本阪神が原点を見つめ直して逆襲へ転じる。(山本 浩之)

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2016年6月20日のニュース