大谷 二刀流で激走見せた!自打球激痛も自身5連勝

[ 2016年6月20日 05:30 ]

<中・日>6回表2死一塁、レアードの左翼線二塁打で、一塁から一気に先制のホームを陥れる大谷。捕手杉山

交流戦 日本ハム3-2中日

(6月19日 ナゴヤD)
 「二刀流」は走りも凄い!日本ハムの大谷翔平投手(21)が19日、中日戦に「5番・投手」で先発出場。6回に四球で出塁すると、続くレアードの二塁打で、一気に本塁まで生還して先制点を奪った。投げては最速161キロを記録し8回2安打無失点で12奪三振。4回に自打球を受けるアクシデントもはねのけ、自身の連勝を5に伸ばして6勝目をマークした。

 大きなストライドで本塁を狙うと、ナゴヤドームがどよめいた。6回2死一塁。一塁走者・大谷はレアードの左翼線への二塁打で二塁を回り、三塁ベースも蹴った。足から滑り込み先制のホームイン。決勝点を生んだこの走塁の裏には、大谷のしたたかな計算があった。

 「恐らくホームでタッチアウトになっても(走塁妨害の判定で)セーフになっている。難しい判断ではなかった」

 大谷は、2死から四球で出塁。レアードの一打で二塁を回ると、三塁へ向かう走路に打球を目で追っていた三塁手・エルナンデスがいた。反射的に減速したが、三塁コーチャーの白井内野守備走塁コーチ兼作戦担当が腕を回しているのを確認すると、一気に加速した。もし本塁で憤死してもエルナンデスの走塁妨害をアピールすれば、セーフとなる可能性が高いと瞬時に判断し、本塁突入を決断していた。

 白井コーチが「彼の走力の高さは理解している」と評する、大谷の類いまれな走塁センス。それは岩手・花巻東時代に培われた。走塁練習を毎日行い、一塁走者、三塁走者としての打球判断を養った。「内野の黒土の終わりまで全力疾走」「外野フライは二塁まで全力疾走」という決まり事もつくって取り組んだ。全力疾走が相手守備陣に見えないプレッシャーをかける。「走塁は、僕なりに昔から頑張ってきた。一番、野球勘が出るので難しいし、特にプロの打球は難しい。走塁ミスは流れが変わるので気をつけている」。先の塁を狙う貪欲さ、そして冷静な判断は高校時代の特訓のたまものだ。

 3週連続「5番・投手」で出場したが、二刀流はケガのリスクも付いて回る。4回。先頭打者で迎えた2打席目に自打球が右すねの内側に当たり、もん絶した。一度はベンチに下がったが「当たる瞬間に(右足を)引いたので、大丈夫」。直後のマウンドからは患部にテーピングを施し、激痛に耐えた。1―0の8回1死満塁ではプロ初となる押し出し四球を選んで「(6回と)どっちも得点に絡んだので良かった」と納得の表情を浮かべた。

 投げては最速161キロの直球にスライダーがさえ渡り8回2安打無失点。今季自己最多の12三振を奪い、自身5連勝でチームトップタイの6勝目を挙げた。交流戦は3戦全勝。二刀流の怪物が投げて、打って、そして走って、グラウンドで暴れ回った。(柳原 直之)

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2016年6月20日のニュース