84年はリーグV!誠也 2戦連続サヨナラ弾 球団32年ぶり、21歳は最年少

[ 2016年6月19日 08:35 ]

<広・オ>9回1死一、三塁、逆転サヨナラ3ランを放ち、雄叫びを上げてベースを回る鈴木

交流戦 広島4―3オリックス

(6月18日 マツダ)
 「大谷、藤浪世代」の新たなスターが誕生した。前夜午後11時前に「人生初」のサヨナラ弾を放った広島・鈴木が、一夜明けのデーゲームでまた打った。2点を追う9回1死一、三塁。平野の4球目、抜け気味の真ん中低めフォークをノーステップで振り抜くと、打球は左中間へ飛び込んだ。

 史上10人目となる2試合連続のサヨナラ9号3ラン。球団では84年の長嶋清幸以来、32年ぶり2人目の快挙だ。お立ち台では、もう言葉にならない。前夜は5回だった「サイコーです!」を8回も絶叫。広島名物となった氷の祝い水を2日連続で自ら頭にかぶり、大観衆の喝采を浴びた。

 相手の守護神・平野とは前夜も対戦。同点に追い付いた9回2死二塁で三ゴロに倒れた打席が生きた。「タイミングが合わなかった。足を上げていては、あの早いクイックに対応できない。追い込まれていたので、フォークも頭に入れながら、しっかり食らい付いていこう…と」。高卒4年目の21歳。右翼の定位置をつかんだ勝負強さ、打撃の極意がそこにあった。

 ロッテの清田、角中を参考にしたというノーステップ打法。取り入れる端緒となったのは同学年の中日・若松だ。チェンジアップを打つために、4月29日の対戦で「思い切って挑戦しようと」決意し、4回1死満塁で中前に適時打。初対戦から7打席目にして結果を出した。この豊かな感性と対応力が鈴木の長所だ。

 「いや~神ってる。何かやってくれるんじゃないかと、誠也に期待はしていたけど、まさか2試合連続サヨナラ弾を打つとはね。いや~信じられない」。緒方監督は興奮冷めやらない様子で若ゴイを絶賛した。今季初の5連勝。今年もパ・リーグの強さが際立った交流戦だが、セ・リーグでは唯一勝ち越した。貯金を今季最多の10。2位・中日とは6ゲーム差と独走態勢に入った。

 「何とも言えない気持ち。うれしいのか分からない」と最後まで笑いっ放しの鈴木。前日に規定打席に到達し、打率・312は堂々のリーグ4位につける。広島の背番号51に大ブレークの予感が漂う。 (江尾 卓也)

 ▼広島・岡田(8度目の先発で自己最長の8回を2失点もプロ初勝利ならず)しっかりコースを狙って投げられた。そのうち勝ちます。

 ◆鈴木 誠也(すずき・せいや)1994年(平6)8月18日、東京都生まれの21歳。二松学舎大付3年夏の東東京大会はベスト8止まりで、甲子園出場はなし。高校通算43本塁打。12年ドラフト2位で広島入団。13年9月14日の巨人戦でプロ初出場。14年11月には21Uワールドカップに日本代表として出場、大会首位打者に輝いた。1メートル81、87キロ。右投げ右打ち。今季年俸1700万円。

 ▽84年長嶋清幸の2試合連続サヨナラ弾 9月15日の巨人戦(広島市民)。0―2の9回に衣笠、山本浩の連打で無死一、二塁とし、西本聖から右翼に逆転サヨナラ3ラン。チームは首位で3位・巨人との差を9ゲームに広げた。翌16日の同カードでは0―0で迎えた延長12回1死で、江川から右翼へサヨナラ弾。背番号0の連日の活躍でチームは優勝のマジック12が再点灯し10月4日に4年ぶり4度目のリーグVを果たした。

 ≪21歳は史上最年少≫鈴木(広)が2日連続のサヨナラ弾。2試合連続サヨナラ本塁打は、12年のバルディリス(オ)以来史上10人目のプロ野球最多タイ記録。広島では84年の長嶋以来32年ぶり2人目の快挙だ。また、21歳での達成は、前記長嶋の22歳を下回る史上最年少記録になった。なお、鈴木は前日の一発が初のサヨナラ安打。2試合連続サヨナラ本塁打をプロ1、2本目のサヨナラ安打で記録したのは長嶋と88年のデシンセイ(ヤ)に次ぎ3人目。

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