巨人・坂本 逆転V弾 ミスター傘寿祝いに華「良い気をもらえた」

[ 2016年6月17日 05:30 ]

<巨・楽>8回1死二塁、左中間に逆転14号2ランを放つ坂本

交流戦 巨人10―7楽天

(6月16日 東京D)
 ミスターの勝負強さが乗り移った。巨人・坂本勇人内野手(27)が16日の楽天戦で、6―7で迎えた8回に14号逆転2ランを放った。2月20日に80歳になった長嶋茂雄終身名誉監督の傘寿を祝うイベントが催され、長嶋氏が東京ドームで観戦。先発野手全員、今季最多タイの18安打で祝賀ムードに花を添え、勝率5割復帰でセ・リーグ2位に浮上した。

 劣勢だった5回終了時、坂本は空気が変わるのを感じた。ドームに太陽が差し込んでいた。

 「ショート(の守備位置)から気を吸い込みました。良い気をもらえたのかなと思います」。三塁側テラス席で長嶋氏が立ち上がり、人文字で傘寿を祝うメッセージをつくったファンに左手を上げて感謝を伝えていた。まさに太陽のような笑顔を、じっと見つめた。

 取っては取られ、取られては取り返す展開。活発な打線の中、坂本は8回1死二塁で打席に入るまで4打数無安打、先発野手で唯一の音なしだった。「自分だけヒット打ってない…と寂しい思いをしていた」。吸い込んでためた「気」を、この瞬間にパワーに変えた。軸足に体重を乗せる。内角球を引きつける。これぞ坂本だ。腕を畳み、軸回転で引っ張った。

 左中間席に飛び込んだ逆転の2ラン。「インコースは好きなので。簡単な球じゃなかったけど、一振りで仕留めることができて良かった」。春季キャンプでは、長嶋氏に右足を10回ほど叩かれる熱血指導を受け、軸足を残して前に出ないようにフォームを固めた。目の前で実践してみせた。

 チャンスに強い打撃、明るい性格は、長嶋氏とつながる。試合前には、自身のモデルのバットを使う楽天・オコエに「バット振れてるね」と声を掛けた。すると内角球に課題を持つルーキーから助言を求められた。敵だが、球界全体で見れば若き才能。身ぶり手ぶりを交えて内角打ち談議に花を咲かせた。「世間話をしたくらいですよ」とけむに巻いたが、試合ではお手本のような内角打ち。帰り際の通路で鉢合わせした18歳からは「ありがとうございました」と最敬礼を受けた。

 高橋監督は「選手が勝つ試合を長嶋監督に見せることができて良かった」と喜んだ。巨人のスーパースターの血筋を引く27歳。「交流戦はあと3試合しかないので、いい形で勝って終われるように、チーム一丸となっていく」と言い、キラキラした笑顔を見せた。 (神田 佑)

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