イチローと一問一答「日本だけで抜くことがおそらく一番難しい」

[ 2016年6月17日 05:30 ]

<パドレス・マーリンズ>試合後の会見で記者の質問に答えるイチロー。心なしか目が潤んでいるかのようにも見えた

ナ・リーグ マーリンズ3―6パドレス

(6月15日 サンディエゴ)
 【マーリンズ・イチローに聞く】

 ――同僚はベンチの中で並んで立って拍手していた。

 「米国に来て16年目ですけど、途中、同じ仲間であってもしんどかったことはたくさんあった。去年このチームに来て、1年間一緒にやって、今年メンバーが少し変わったんですけど、最高のチームメートとハッキリ言える。もう年齢差から言えば“子”たちですよね。彼らには本当に感謝しています」

 ――日本ではここ数日、社会現象というほどの注目が集まり、号外も出た。

 「そうなんですか。別(舛添東京都知事)の号外の話も聞きましたけどね」(場内爆笑)

 ――日本のファンが誇りになると喜んでいる。こちらで選手としてそういうことを与えられたということについては。

 「それはうれしいんですけど、難しいところですねえ。合わせた記録というところが。だからいつか米国でローズの記録を抜く選手が出てきてほしいし、それはジーターみたいな人格者であることが理想。もっと言えば日本だけでピート・ローズの記録を抜くことがおそらく一番難しい記録だと思うので、これを誰かにやってほしい。とてつもなく難しいことですけど、それを見てみたいですよねえ。だから、日米合わせた記録とはいえ、生きている間に見られて、ローズはちょっとうらやましいですね。僕も見てみたいです」

 ――節目の記録に付き合い方は変わってきたのか。

 「200(安打)とこれは全然比較できないですからね。ピート・ローズが喜んでくれれば全然違うんですよ。ハリー(張本さん)なんかは来てくれたじゃないですか。シアトルに(09年の3085安打の際)。ハリーって、ハリーですけど。なんかかわいげがありますよね(笑い)」

 ――9回1死一塁でスタントンが三ゴロ。5打席目は回ってこないかなという中で、引きの強さと感じたが。

 「それは言うまでもないでしょ。それは僕が持っていないはずがないですから。あそこで併殺はないと信じていました」

 ――大リーグ記録ではないが、世界記録にしようという話も出ている。

 「どうしてもらっても構わないですよ(笑い)。好きなようにしてくださいよ」

 ――出場試合数を見るとローズよりも早いペースでの達成。

 「時間かかりすぎだよ。この3年間はちょっと足踏みだね。サッと抜きたいもんね。ちょっと苦労した感じが出るじゃないですか」

 ――苦労しているところは見せたくないのか?

 「そんなん見せたいやつ誰がいる?上原(浩治)と野村(克也)さん以外いる?自分で雑草とかっていう人は見せたい人だから」

 ――ボンズ打撃コーチが安打を打つたびにボールを回収しているが、気遣いを感じるか。

 「やっぱり気持ちがよく分かるっていうか、記録と向き合った人にしか分からないことだと思う。ボンズの場合は全部(球場の)外に行っちゃうから回収できないんだけど、僕の場合は内側だからね」

 ――ローズが「違う、違う」と言い続ける気持ちは分かるか。

 「そういう人がいた方が面白いしねえ。それが人間の心理みたいなものですから。じゃないと盛り上がらないしっていうところもあるでしょ」

 ――ボンズはイチロー選手がローズと会ってる姿を見てみたいと言っていたが。

 「ボンズに聞いたら(ローズは)凄いいいやつだとかって言うから。でもそれは書かないであげてほしいんだけど。演じてる可能性あるからね。営業妨害になっちゃうから」

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