イチローVSローズ論争は無意味…功績は日本野球の価値を高めたこと

[ 2016年6月17日 12:15 ]

<パドレス・マーリンズ>9回、二塁打で世界最多の4257安打を放ち、声援に応えるイチロー

ナ・リーグ マーリンズ3―6パドレス

(6月15日 サンディエゴ)
 【記者の目】ピート・ローズさんには2度会ったことがある。彼はネバダ州ラスベガス在住で、今も定期的にサイン会を行っている。1度目は06年。「日本人か?」と確認すると、いきなり紙を出し、慣れた手つきで「ピートローズ」とカタカナでサインした。そして「サダハルオー(王貞治)、カネダ(金田正一)はいい選手だった」と日本通ぶりを得意げに話した。

 2度目は08年。イチローが日米通算3000安打を達成した年だ。新聞記者だと名乗り「イチローのメジャー1年目を取材していた」と明かすと、その先の質問を察したのか、彼は「イチローはいい選手だ。でも、日本の記録は別物だ」と強い口調で言い放った。4256安打には誇りを持っており、サインする時は必ずその数字も入れる。

 日米通算の記録は、イチローが区切りの数字に到達するたびに議論になる。しかし、米国が「世界一」と認めることは絶対にない。あくまで日米通算は参考記録で、どちらが一番かを議論するのはナンセンスだ。

 今回、往年の名選手たちは「イチローがもっと若い時に米国に来ていれば、一体何本打ったか」と想像力を駆き立てる。米国の野球殿堂は、イチローの日米通算記録がきっかけとなり、ニグロリーグやマイナーリーグの成績もリサーチし、プロの打者としての通算安打数を調査し始めた。イチローが米球界に残した大きな功績は、日本でトップだった打者が、メジャーでも歴史に残る成績を残し、日本野球の価値を高めたことではないか。
 (スポニチ本紙スポーツ部野球担当デスク・甘利 陽一=01年イチロー担当)

続きを表示

この記事のフォト

2016年6月17日のニュース