中田 侍4番対決で貫禄10回V弾 筒香同点弾吹っ飛ばした

[ 2016年6月16日 05:30 ]

<D・日>延長10回2死、左越えソロを放つ日本ハム・中田

交流戦 日本ハム3―2DeNA

(6月15日 横浜)
 侍4番対決を制した!日本ハムの中田翔内野手(27)が15日、DeNA戦で同点の延長10回2死で決勝の13号ソロを放った。9回2死から、侍ジャパンで4番の座を争う筒香嘉智外野手(25)の同点2ランで追い付かれたが、その直後に放った豪快な一発。お互いに力を認め合う筒香の頭上を越えて、左翼席に叩き込んだ。主砲の活躍でチームは今季3度目の3連勝で、貯金を今季最多の5とした。

 バットを握ったまま打球方向を見上げ、心の中で「入れ」と祈った。2―2の延長10回2死。中田が5番手・三上の初球をしばき上げた。横浜の夜空に高々と舞い上がった白球は、ファウルゾーンから風に乗って左翼ポール際に飛び込んだ。

 「打った瞬間はレフトフライかと思ったけど、風で入ってくれた」

 9回に代打・矢野の2ランで一度は勝利を確信。だが、直後の9回2死一塁で守護神・増井が筒香に同点2ランを被弾した。「ゴウ(筒香)は誰が見ても凄い打者。打ちそうな雰囲気があった」。侍ジャパンで4番を争う後輩の一発に、中田は「燃えてはいないけど…」と笑ったが、4番の血が沸き立つのは当然だった。豪快な13号決勝アーチ。打球を見上げていたのは、その筒香だった。

 この打席まで11打席連続無安打。中田は復調のきっかけをその筒香から探ろうとした。「(リーグが違うので)あいつの打撃はなかなか見られないから楽しい。その中で参考になることはある」。前日の同戦(ハードオフ新潟)でも後輩の打撃を一塁守備から熱心に見つめた。そして、この日の全体練習中に筒香に頼んでツートンカラーのバットをもらった。

 「(自分のバットより)ちょっと軽くて、グリップは細いけど、タイプは似ている」。そんな「筒香バット」で臨んだ初回2死二塁で迎えた1打席目にいきなりバットが折れて三ゴロに凡退する“珍事”だったが、「バットなんかどれ使っても一緒。打てへん時は打てへん」と開き直った。2打席目以降は自身の白木のバットに持ち替えて決勝弾を放った。中田は筒香のことを「本塁打も打率も残せる。僕は一番凄い打者だと思っている。軽打もできるパワーヒッター」と評する。もっと上を目指したい、との謙虚な姿勢が、中田をさらに成長させる。

 栗山監督も「打ち上げて(ポール際に)戻ってくるのが翔(中田)らしい打球だった」と絶賛。昨秋の「プレミア12」では4番を筒香に譲ったが、世界一奪還を目指す来年3月のWBCでは中田も黙ってはいない。「直接対決」で互いに放った豪快な一発。3連勝を飾り、貯金は今季最多の5。チームを勝利に導くのが4番の姿なら、この日の「直接対決」を制したのは中田だった。 (柳原 直之)

 ▼侍ジャパンの4番 3月に行った強化試合・台湾戦2試合で、小久保監督は「4番は中田と筒香に1試合ずつ任せる」とし、第1戦は中田、第2戦は筒香が4番。中田は第1戦で2打数無安打2四球で、筒香は第2戦で9回に右越え2ランを放つなど、4打数2安打3打点だった。昨年11月の国際大会「プレミア12」では、1次ラウンド全5試合で4番を務めた中村剛(西武)が右太腿の違和感を訴え、準々決勝からの3戦は筒香が4番、中田が5番に入った。

 ≪両リーグ最多勝利打点10度≫中田(日)が延長10回に決勝本塁打。中田の延長戦本塁打は、14年9月27日オリックス戦の10回にサヨナラ本塁打して以来2本目となった。今季の勝利打点は10度目で、内川(ソ)の9度を上回り両リーグ単独最多。今季交流戦の中田の殊勲本塁打は4本目で、阿部(巨)の3本を抜き両リーグで最も多い。

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