【内田雅也の追球】阪神 代わり端が危ない この夜は4の3、3打点

[ 2016年6月16日 10:25 ]

<神・オ>8回2死二塁、西野に適時三塁打を打たれた伊藤和

交流戦 阪神1―5オリックス

(6月15日 甲子園)
 勝敗は救援投手の差だった。6回表、阪神の2番手・榎田大樹が2死から一、二塁を招き、代打ブレント・モレルが出ると、5月26日以来の登板となるマルコス・マテオを投入。これが裏目と出て右前に同点打を浴びた。

 さらに、1―1同点の8回表、4番手で登板した高橋聡文はいきなりT―岡田に右翼席に勝ち越し本塁打を浴びた。さらに3安打で2点を失い、5番手・伊藤和雄もいきなり、三塁打を浴びた。

 問題は救援投手の「代わり端(ばな)」である。阪神投手陣はこのところ、マウンドにあがり、いきなり痛打されるシーンが目立つ。この夜は登板直後の第1打者に4打数3安打3打点と打ち込まれた。

 当然だが、首脳陣が救援投手を起用する際、まず最初に対戦する打者を打ち取ってほしいとの期待がある。降板させる投手よりも、送り込んだ投手の方が打ち取れるという判断に立っている。

 野球統計が盛んな米国では救援投手の力量をはかる指標として「登板第1打者の被出塁率」がある。代わり端の成績だ。

 阪神は交流戦14試合で通算35打数11安打、被打率・314と打ち込まれ、4四球で被出塁率・385とはっきり悪い。

 交流戦で勝った5試合に限れば、藤浪晋太郎完封に、残り4試合での救援投手は11打数1安打の被打率・091、1四球で被出塁率・167。代わり端の出来不出来が勝敗に直結している。

 継投ミスかと言えば致し方ない状況がある。先発投手の投回数が短く、5回以下で先発が降板となったのが5試合ある。

 ジャイアンツなどで大リーグ通算2008勝をあげた名監督レオ・ドローチャーが「投手を出し惜しみするな。明日は雨かもしれない」と語っている。江夏豊は阪神から南海移籍後、救援に転向し「リリーフ投手がマウンドに立つのは八百屋が白菜を売るようなもの」と悟ったという。確かに勝利のためには投手の酷使は付き物だろう。

 だが連日の登板で救援投手陣に疲労が出ているようである。むろん、フロントも苦しいブルペン事情は承知しており、新外国人で救援右腕のコーディ・サターホワイト(エンゼルス3A)を獲得、この日来日した。ただし、ビザ取得などの関係で登板は今月末だろう。

 梅雨時、疲れが出るころだろう。頼みは雨天中止か。命運を握る救援陣が正念場を迎えていた。 =敬称略=
 (スポニチ本紙編集委員)

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2016年6月16日のニュース