金本監督「一つ殻を破った」今季初5連敗も終盤の粘りに光明

[ 2016年6月11日 08:05 ]

<日・神>9回無死一塁、藤川(左端)はレアード(右端)に逆転サヨナラ2ランを打たれぼう然と立ち尽くす

交流戦 阪神4―5日本ハム

(6月10日 札幌D)
 今は我慢の時―。10日の日本ハム戦(札幌ドーム)に敗れた阪神は今季ワーストの5連敗、借金4の低空飛行でヤクルトと並ぶ交流戦の同率最下位に転落した。1点リードの9回に藤川球児投手(35)がサヨナラ2ランを被弾。それでも金本知憲監督(48)は勝負に行った結果を責めることなく、8回に一度は試合を引っ繰り返した打線の粘りを評価。「我慢、我慢」と歯を食いしばった。

 1点リードの9回無死一塁。勝利目前、まさしく「あっ」と言う間に接戦は幕を下ろした。藤川が投じた真ん中低め134キロのフォークはレアードのバットを経て、悪夢のサヨナラ2ランへと姿を変えた。

 「やられましたね。申し訳ないです。(勝負球のフォーク選択は)バッテリーの選択なんで」

 打たれた瞬間、顔をしかめて悔しさを表現した背番号18。かつての絶対的守護神のサヨナラ被弾は、11年8月3日の巨人戦(東京ドーム)以来5年ぶりの屈辱だった。それでも試合後は言い訳を口にすることなく、敗戦の責を一身に背負った。

 とはいえ勝敗は兵家の常。確かに痛い敗戦となったことは間違いない。ただ紙一重の勝負に行った結果を、簡単に責めることもできない。金本監督も「打たれたのは、もうしょうがないからね」と多くを語らず。それよりも、一度は劣勢を引っ繰り返した打線の粘りに活路を見いだした。

 「でも考えようによっては、セットアッパーから逆転したんだからね。今季初じゃないかな。だいたいはスッと負けるパターンだけどね。あの8回の攻撃は今季初だと思うよ。そこを、これから反発力あるチームになっていくためにはね。一つでもきっかけに。自信になったというか。自信を付けてほしい。向こうの勝ちパターンの投手から逆転したんだからね」

 1点を追う8回だ。相手3番手マーティンからゴメス、福留の連打で1死二、三塁の好機をつくり出すと、高山が追い込まれながらも左翼線2点二塁打を放った。劣勢の終盤、淡泊になりがちだった打線が難敵に食らいつき、攻略した。この攻撃こそ、指揮官が求めていた形。日本ハムが誇る勝利の方程式の一角を崩すことで、次戦以降への布石も打った。これまでの敗戦とは意味が違う。明るい未来につながる一敗と評価した。

 「勝てない時は、何をしても勝てない。俺も選手の時に経験しているからね。勝つ時は苦労せずに勝つし。そこは我慢、我慢。あれ(8回の攻撃で)で今後、セットアッパーが来ても期待できるし。一つ殻を破った感はあるね。やっぱり前向きにとらえていかないと」

 今季ワーストの5連敗で、借金は4まで膨らんだ。ヤクルトと並んで交流戦の同率最下位にも転落した。ただ悲観してばかりいても仕方がない。金本阪神は、苦しい時こそ前を向く。

 ≪サヨナラ被弾は5年ぶり4本目≫阪神は今季6度目のサヨナラ負け。藤川は5月25日のヤクルト戦(神宮)以来今季2度目の屈辱になるが、前回は今浪のサヨナラ犠飛。サヨナラ被弾は11年8月3日の巨人戦(東京ドーム)9回、古城に打たれて以来5年ぶり4本目。

 ≪交流戦最下位≫チームは昨年4月以来の5連敗で今季ワーストの借金4。交流戦は3勝7敗で、この日勝利したヤクルトと並ぶ同率最下位に沈んだ。交流戦の最下位は今年5月31日、初戦負けの同率7位以来だが、2試合目以降では14年の全日程を終えた時点で楽天、広島と同率の10位で並んで以来。なお最終成績では規定により11位となり、最下位を免れている。

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