西部ガス 九州第3代表決めた、杉本監督「奇跡です。執念です」

[ 2016年6月9日 15:15 ]

都市対抗野球予選九州第3代表決定戦 西部ガス6―2三菱重工長崎

(6月9日 KIRISHIMAサンマリンスタジアム宮崎)
 西部ガス(福岡)が三菱重工長崎を下し。苦しんだ末に九州第3代表の座をつかんだ。ナインは杉本泰彦監督(56)を胴上げして、長かった2カ月を振り返った。

 4月14、16日に熊本地方を震源に熊本、大分にかけて震度7の大地震が襲った。家屋は倒壊し、ライフラインも止まった。熊本県の約11万3000戸にガスを配給している同社は、即現地に社員を派遣した。もちろん野球部員も例外ではない。杉本監督の「野球部員の前に西部ガスの社員たれ。仕事優先」が基本方針。地震発生から現地入りし、まずガス漏れしていないかなどの点検、そしてガス栓を止める。それを家一軒一軒回り続けた。終わると一度福岡に戻り、復旧すれば再び熊本に入り、点検後ガス栓をひねる。4月中、その繰り返しで、5月末からの都市対抗予選など考えられない日々を送った。

 やっと5月上旬からライフラインも落ち着いたことで練習を再開。しかし期間の短さに、5月31日に行われた初戦の鹿児島ドリームウェーブに3―12と大敗。企業チームがクラブチームに一方的にやられ、2年連続の東京ドームは無理かと思われた。第2代表の敗者戦に回り、JR九州に敗れ最後の第3代表決定敗者戦に回った。熊本鮮ど市場ゴールデンラークスに何とか勝ち、次の相手は初戦で敗れた鹿児島ドリームウェーブ。1点差を必死の継投で守り、この日の第3代表決定戦までこぎつけた。

 「奇跡です。選手たちの執念です。地震で野球どころじゃない中、ここまできて、選手たちは本当にすごい」杉本監督は喜びを爆発させる選手を見ながらしみじみ話した。部員25人中、沖縄4人を含め全員が九州出身者。この日2番手で反撃を抑え、予選全試合に救援した“胴上げ投手”今村幸志郎(26)は熊本出身だから地震は我が身のことだった。

 2年連続の東京ドーム。しかし、その意味合いは全然違う。昨年は優勝した日本生命と対戦し8回コールド負け。初出場の硬さからかまったく野球にならなかった。だが、市民のために不眠不休で働いた4月の経験が逆境に強い体質を作り上げた。今年こそ。九州代表として熊本に元気を届けたい。

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2016年6月9日のニュース