【斎藤隆氏パドレス留学記】日本とスケール違いすぎる米ドラフト

[ 2016年6月8日 10:50 ]

ペトコ・パークでは高校生、大学生か参加した練習会が行われており、早くも来年のドラフトに向けた青田買いの動きも

 MLBは9日(日本時間10日)から3日間、ドラフト会議が行われます。30球団が40巡目まで指名。トータルで1200人以上が指名される一大イベントで、球団にとっては、将来を左右する3日間と言っても過言ではありません。この数日間は会議漬けで、昼前に始まり、遅い日は午後11時ごろまで。球団スタッフに「忙しくなるから、覚悟しておいた方がいいよ」と言われましたが、想像以上の忙しさでした。

 米国は広いので、その地域の選手を見る「エリアスカウト」は、各球団で15~20人はいます。まずは、そのエリアスカウトが選手をプレゼンする会議が今月1日から3日間行われ、私も参加させてもらいました。1日5人ぐらいのスカウトが入れ替わりで、映像などを使って説明。2、3年前からずっと見てきた選手たちなので、プレゼンにも自然と力が入ります。

 3日間で800人以上は見たでしょうか。面白いのは、選手のレベルの幅が広いことです。一目で「これは凄い」と思う選手もいれば、技術的に未熟な選手も。確かに、トップレベルの選手ばかり10人チェックしたとしても、30球団あるので、1巡目でほぼ消えてしまいます。単純に考えても5巡目は、全体で実力121番~150番目の選手を指名するわけです。それが40巡目となると…。全米中にスカウト網を張り巡らせるシステムと、そのリサーチ力には驚かされるばかりです。

 実はこの会議の前には、本拠ペトコ・パークで高校生、大学生のワークアウト(練習会)が行われています。来年以降のドラフトを見据えたもので、練習を実際に見て能力をチェックしたり、選手や親とコミュニケーションも取ったりします。30球団で選手を奪い合うので、「青田買い」になるのは当然です。

 私は今回のインターンで経験することを全て、「日本に取り入れるなら、どうすればいいか」などと、日本に置き換えて考える感覚を常に大切にしてきました。ところが、このドラフトだけは違いました。システムの大きさや関わっている人の数…、米国野球の奥深さを見た気がしました。(前楽天投手)

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