京産大 11年ぶり全国1勝へ「失うものは何もない」

[ 2016年6月5日 21:20 ]

 「第65回全日本大学野球選手権記念大会」は6日に神宮球場、東京ドームの両会場で開幕する。3年ぶり5度目の出場となる京産大(関西六大学)は1回戦で富士大(北東北大学)と激突。4番を打つ藤原隆蒔内野手(4年)、春季リーグ戦で最優秀選手賞に輝いた捕手の福山大貴主将(4年)を中心に2005年以来11年ぶりの全国大会1勝を狙う。

 05年以来11年ぶりの全国大会1勝は4番の双肩にかかっている。現役部員のうち、大学での全国舞台を経験しているのは藤原隆蒔内野手だけだ。1回戦の相手は富士大。最速152キロのプロ注目右腕・小野を擁する難敵が相手だが、頼れる主砲が決意を示した。

 「現役部員で全国大会を経験しているのは自分だけ。その全国ではずっと悔しい思いをしてきました。自分たちの代でまた全国大会へいけるチャンスをいただいた。自分がプレーでしっかり引っ張っていきたい」

 京産大に入学した13年、1年生ながら大学選手権に出場。初戦の2回戦・日体大戦に6番・DHで先発したが、5打数無安打に終わり、延長10回タイブレークの末に敗れた。14年秋の明治神宮大会も屈辱だけが刻まれた。1回戦の東農大北海道オホーツク戦に4番・一塁で先発。1安打を放ったが、チームは3投手の継投の前に15三振し、完封負けを喫している。

 今春は序盤こそ出遅れたが、打撃状態は上向きだ。第5節・龍谷大2回戦(わかさスタジアム京都)で左翼へ場外弾。今季1号を含む3打点の活躍でチームを4連勝へと導き、最終節・大商大戦へ弾みをつけた。今春は通算50打数16安打9打点、打率・320を残した。4年春終了時点で積み上げた安打数は86。リーグ史上12人目の通算100安打も十分圏内だ。

 左の津田(西濃運輸)、右の尾嶋(新日鉄住金広畑)の2枚看板が抜け、野手も6人が入れ替わった。勝村法彦監督(59歳)は「一番下の順位も覚悟した」と話すほど苦しいシーズンだった。そんな中、今春4勝を挙げた湯川翔太(2年)、熊山琢也(3年)、谷口大空(4年)、川辺凛(2年)らが台頭。指揮官は「一戦一戦、成長した。大したもんやと思います」と信頼を寄せる。

 経験の浅い投手陣を束ねた捕手・福山大貴主将の存在も見逃せない。精神的支柱としてチームを鼓舞し、打撃でも中軸に座った今春は打率・367を残し、最優秀選手賞を獲得した。「失うものは何もないですし、挑戦者の気持ちで戦います」。もう1敗も許されない崖っぷちの状況からミラクル3連勝でつかんだ全国切符。この勢いを富士大にぶつける。 (吉仲 博幸)

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2016年6月5日のニュース