巨人・阿部 再奪首V弾 長友に負けじ?野球は「アモ~レだね」

[ 2016年6月5日 05:30 ]

<巨・日>スタンドのファンはビックリ、谷元はガックリ…。6回1死、阿部は決勝の2号ソロを放つ

セ・リーグ 巨人5―4日本ハム

(6月4日 東京D)
 巨人・阿部慎之助捕手(37)が4日の日本ハム戦でチームを5月21日以来2週間ぶりのセ・リーグ首位に浮上させるアーチをかけた。4―4の6回、右越えの2号ソロ。右肩痛から復帰した31日オリックス戦(京セラドーム)での1号に続く決勝本塁打で、14年6月(7連勝)以来となる6連勝に導いた。交流戦開幕5連勝は12年の7連勝以来で2度目。7連敗後の反攻が止まらない。

 期待に応える男だ。今季初めての東京ドームのお立ち台。阿部は愛するファンに「最高で~す」の3連発を届けた。ベンチ奥では報道陣に囲まれ、自身にとっての野球の位置づけを問われ「それ使うんすか?」と苦笑いしつつ「そうだね…。アモーレ(イタリア語で愛する人)だね」。サッカー日本代表DF長友が発したホットなワードで慎ちゃん節を仕立てた。

 6回、谷元がカウント1―1から投じた144キロの甘い直球を強振。完璧な放物線を右翼席中段に突き刺した。「練習も良くないけど、フォームのこととか気にしないで、待った球だったり、打てるボールに手を出すことだけ考えた」。5月31日の戦列復帰から、5試合で5四死球。この日も第1打席に死球を受けた。相手の厳しいマークに迷いも生じていたが、早いカウントからの積極打法が功を奏した。

 その手には5月前半から使うバットがあった。近年、タイ・カッブ型の丸みを帯びたグリップのものを愛用してきたが、今季はミズノ社に改良を依頼。試行錯誤の末にフィット感を得たのがグリップエンドが薄く、断面が三角形に近いシャープなものだった。復帰後2本目の決勝アーチ。新兵器の手応えはいい。

 キャンプ終盤に痛めた右肩に不安を残し、捕手の守りには就かない。敵地でのオリックス3連戦はDH出場で、本拠に戻った3日からは一塁に入った。理想には遠い復帰だが、ベテランの役割は忘れない。8回。復帰登板の西村が先頭の陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)にシュートで死球を与えるなど満塁とすると、マウンドで激励した。「おまえの持ち球なんだから、当てるのを怖がって投げないんじゃしょうがない。思い切っていけ」。バットで、言葉で、首位再浮上の1勝を呼んだ。

 復帰後5連勝で負け知らず。だが、ここまでの長期離脱の借りは当然、返せていないと思っている。「マスクをかぶってできない分、こうやって打って貢献したり、ピッチャーに何か楽になる言葉を掛けるのが僕の仕事。僕にできることを全うしたい」。全てを愛するチームにささげるだけだ。 (春川 英樹)

 ▼巨人・高橋監督(決勝弾を放った阿部に)ここぞというか、何とかいい形でという思いに応えてくれた。

 ≪交流戦52発は単独2位≫阿部(巨)が6回に決勝2号ソロ。5月31日オリックス戦でも6回に逆転2ランを放っておりV弾は今季2本目。自身シーズン1、2号がV弾となったのは13年4月7日中日戦、同16日阪神戦でいずれも逆転3ランで記録して以来2度目だ。これで交流戦の通算本塁打は52本目。中村(西)の67本に次ぎ、同僚の村田51本を抜いて単独2位に浮上した。また、東京ドームでは01年から16年連続通算196本目。連続年数、通算本数とも自己の持つ同球場での最多記録を更新した。

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