清原被告へ説諭 異例の3分「あなたは決して一人ではありません」

[ 2016年6月1日 07:50 ]

清原和博被告

清原和博被告判決公判

(5月31日 東京地裁)
 清原和博被告の判決公判で、吉戒(よしかい)純一裁判官は約3分間に及ぶ説諭を行った。

 判決朗読後、「1つ申し上げたいことがあります」と切り出し、「覚醒剤をやめることは容易ではありません。ただ、あなたは決して一人ではありません」と強調。初公判の際に弁護人に手紙を託した父・洋文さん(78)や情状証人として出廷した野球評論家の佐々木主浩氏(48)、ファンらを挙げ「もし心が折れそうになったら、お父さんの手紙を読み返してみたり、支援者と相談してみるのもよい」と助言。「あなたが会いたいと願っている息子さんたちのためにも、(覚醒剤を)やめてください」と語りかけた。

 “裁判官ウオッチャー”として「裁判官の爆笑お言葉集」などの著書があるフリーライターの長嶺超輝氏(40)は「薬物事件の一般的な説諭は一言二言。3分間は異例の長さ」と指摘。女優の酒井法子(45)や歌手のASKA(58)の判決でも一般より長い説諭があり、「今回も注目の裁判で、薬物のまん延を司法の立場からも食い止めるために言ったのだろう」と解説した。

 説諭の内容については、「一人で薬物を断ち切るのは非常に難しいので、更生のために家族の存在をあらためて意識させるのは薬物事件の判決では常とうパターン」と説明。また、同じ元野球選手で93年に覚せい剤取締法違反の罪に問われた江夏豊氏(68)の判決でもファンや友人に触れた説諭が行われたことから「似ている」と話した。

 吉戒裁判官は40歳で、福岡地裁判事などを歴任。司法関係者によると、親族も法曹界にいる。長嶺氏によると「普段は説諭を言わないタイプ」。吉戒裁判官が何かを見ながら淡々と言葉を掛けていたことから、長嶺氏は「よく練ってきたのではないか」と指摘した。

 ▼説諭 裁判官が判決後、被告に判決の重みや今後への期待などを語りかけるもの。刑事訴訟規則221条で「裁判長は判決の宣告をした後、被告人に対し、その将来について適当な訓戒をすることができる」と定められている。更生のために反省を促したり、励ましたりする内容が多いが、義務ではなく、何も述べない場合もある。裁判官の個性が強く表れるため、内容で注目されることもある。

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2016年6月1日のニュース