2年春で47発、アーチに「ホッ」早実・清宮の驚くべき意識の高さ

[ 2016年6月1日 12:50 ]

<早実・松商学園>3回、右中間奥の場外へ2打席連発となるソロを放つ早実・清宮

 評判通り別次元の打球だった。早実(東京)の怪物スラッガー・清宮幸太郎内野手(2年)のことだ。5月29日に長野県松本市の四賀運動広場で行われた松商学園(長野)との招待試合。清宮は2試合で3発の場外弾を放った。彼の本塁打を生で見たのは初めてだったが、打球の角度や飛距離は群を抜いていた。

 第1試合の1打席目の初球をいきなり右中間後方の場外まで運んだ。相手は春の長野県大会準優勝校で2年生エースの青柳だった。140キロ近い速球を投じる本格派右腕は低めの直球を一振りで完璧に仕留められ「正直、え?という気持ちでした。格が違うなと思いました」と脱帽した。

 さらに衝撃を受けたのは3回の2打席目だった。フルカウントから右中間へ2打席連発となるソロアーチ。後で撮影した写真を見返すと、バットを振り切らず、どこか合わせにいったような振り方だった。「軽く打っただけでも飛ぶ」という言葉を実証する脅威のスイング。観客からは「清宮だけ金属バットではなく木製バットにした方がいいのではないか」との冗談も聞こえてきた。

 初めて清宮を見たのは5月3~5日に秋田県能代市の山田久志サブマリンスタジアムで行われた招待試合だった。この時は右肩痛の影響もあり、4試合で0本塁打。「これだけたくさんの方が見に来てくださったのに打てなくて本当に申し訳ない」。何度もその言葉を繰り返していたが、高校生とは思えない、まるでプロ野球選手のような意識の高さに驚かされた。

 故障が癒えた現在のスイングは約3週間前とは全くの別人だった。まだ2年春だというのに、高校通算47本塁打。早くも原辰徳(前巨人監督)の44発を超えた。本塁打を打つと「スカッとするというよりホッとする」という。規格外のスラッガーは周囲の期待や重圧を一身に背負っている。そして、今年だけで既に25発というハイペースで本塁打を量産している。

 試合後、清宮は運営本部から依頼を受け、ホームランボール3個にサインした。球場は今夏から改修工事が始まり、2019年に完成するという。新球場にはそのホームランボールが飾られる予定だ。清宮は「新しくなった時に機会があれば、ぜひ来たいです」と声を弾ませた。3年後は20歳。高校通算本塁打を何本まで伸ばして卒業し、どんな打者に成長しているのか楽しみである。(記者コラム・青木 貴紀)

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2016年6月1日のニュース