アフリカ支援から高校、大学のファーム組織まで…独立リーグ・兵庫の挑戦

[ 2016年5月26日 10:13 ]

 あまり知られていないかもしれないが、アフリカでも野球は行われている。世界最貧国の一つとされる西アフリカのブルキナファソでは、08年の青年海外協力隊による普及活動を機に、翌09年から日本の有志団体が選手を招いて交流する取り組みを開始。今年も6月下旬から約1カ月半、西アフリカ地域7カ国の選抜チームを招く「西アフリカベースボールプロジェクト2016」が開催される。

 北海道から始まる全国各地での交流。関西ラウンドで中心的なホスト役を果たすのが、兵庫県三田市に拠点を置く独立リーグ「ベースボール・ファースト・リーグ」の兵庫ブルーサンダーズだ。6日間にわたり親善試合やイベントを実施。13年からウガンダ出身のワフラ・ポール投手(22)を迎え入れるなど、以前からアフリカ野球の支援に積極的に関わっており、高下沢(こうげ・たく)球団代表は「独立リーグの球団として、できることを探した時に“支援できる立場にはないが、協力はできる環境がある”と感じた。今後も人材発掘への努力と技術提供を惜しまずに行いたい」と話した。

 もう一つのこのチームの大きな特色は、独特のファーム組織だ。12年から「教育提携」を結び、芦屋学園高校、芦屋大学がブルーサンダーズの2軍として、プロチーム傘下で一括した方針のもと、選手が育成されているのだ。それぞれ日本高校野球連盟、日本大学野球連盟に所属していないため、他校と公式戦が戦えない側面もある。しかし、独立リーグの公式戦やNPBチームとの交流戦に出場できるという大きなメリットがある。

 自らも大学を休学して独立リーグでプレーしていた経験がある高下代表は「この環境が在学中にあれば、自分もプロに行けたのではという思いがある。率直に独立リーグに感じる可能性から、提携を持ちかけた」と経緯を説明した。日本の野球界では難しかった「ピラミッド型」の新たなフォーマットを提示している。このシステムのもと、芦屋学園から芦屋大に進んだ本格派右腕・山川和大投手(21)は150キロを超す直球を武器に、今秋のドラフト候補に成長した。

 現在は元阪神、オリックスの井川慶投手の加入に向けても最終調整を進めているブルーサンダーズ。国境を越え、既存の概念をも超えた挑戦から目が離せない。(記者コラム・大林 幹雄)

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2016年5月26日のニュース