ドラ1高山「本当に幸せ」プロ初サヨナラ打 今季最多4万6772人虎党大満足

[ 2016年5月22日 07:00 ]

<神・広>9回1死満塁、サヨナラ打を放ち、笑顔を見せる高山(手前)

セ・リーグ 阪神4―3広島

(5月21日 甲子園)
 阪神のドラフト1位・高山俊外野手(23)が21日、広島戦(甲子園)でプロ入り初のサヨナラ打を放った。3―3の9回1死満塁から右前適時打。直前の三塁ファウルゾーンへの飛球が「神風」でファウルとなった後を仕留めた。本拠地のお立ち台に初めて上がった猛虎の黄金ルーキーは、今季最多観衆となった虎党の前で「本当に幸せ」と喜びをかみ締めた。

 今季最多4万6772人の大観衆が詰めかけた甲子園で、これ以上ないエンディングが待っていた。同点に追いつかれた直後の9回1死満塁。虎党の夢と希望を全身に詰め込んだ黄金ルーキーが、カウント1ボール1ストライクから中崎の真ん中高め142キロ直球を打ち砕いた。痛烈な打球が右前で弾むと同時に高山は高々と右手を突き上げ一塁ベースへ。ベンチから飛び出したナインから初体験となる冷水のシャワーを浴びると、ヒーローはニッコリと笑った。

 「いやーもうよく分からないけどうれしいです。気持ちだけで打ちました。監督にも“がっつくな”と言われていたし、ストライクゾーンを絞っていきました」

 本拠地・甲子園では初となるお立ち台。虎党の大歓声に「本当に幸せでした。ぼくの方が…」とはにかんだ。17日中日戦と前日20日広島戦(ともに甲子園)で勝ち越し打と先制打を放っていたが、救援陣がつかまり決勝打は幻に。ヒーローになり損ねていただけに、3度目の正直に、喜びもひとしおだった。

 2点リードの9回にマテオが安部に同点2ランを被弾。それでも、その裏先頭の大和が左中間二塁打し、すぐに反撃を開始。今成の犠打で1死三塁となり、打順は福留、ゴメス。広島サイドは連続敬遠で満塁策を選んだ。高山も大学まではバリバリの中軸打者。目の前の打者が歩かされる経験はほとんどなかったが、心の準備は万全だった。

 「あの時点で打撃コーチから『お前で勝負があるぞ』と言われていたんで、平常心でいけた。敬遠を見ている時も、普通の気持ちだった」

 神風も吹いた。劇打直前の2球目を三塁ファウルゾーンに打ち上げたが、普段と違い右翼方向に変わっていた浜風に助けられ三塁手・安部が捕球できず(記録はファウル)。命拾いした後の打ち直しの一撃だった。「ああいう形にはなったけど、そこはファウル(になった)と捉えて、あの一打に普通にいけた」。打撃技術だけでなく、メンタルの整え方も新人離れしている。

 慣れない連戦の疲れもあって4月末から当たりが止まり、先発落ちも経験した。だが、この日は第2、4打席でも安打し、4月22日の広島戦(マツダ)以来、甲子園では初となる猛打賞。3試合連続複数安打となり不振にも「サヨナラ」を告げる、この上ない試合で貯金も再び1とした。 (山添 晴治)

 ▼赤星憲広氏(スポニチ本紙評論家)(自身が新人時代にサヨナラ打した)当時のことは覚えています。高山は入って来た時から期待している選手。これからも打ちに打ちまくって勝利に貢献してほしい。新人だからじゃなく、どんどん積極的にいってほしいですね。

 ≪赤星以来球団15年ぶり≫ルーキーの高山(神)がプロ初のサヨナラ打。今季新人のサヨナラ安打は両リーグ通じ高山が初めて。2リーグ制後の阪神新人では赤星が01年5月4日中日戦、6月20日巨人戦と2度マークして以来15年ぶり6人目(7度目)になる。この日は3安打で4月22日広島戦以来4度目の猛打賞。球団新人で猛打賞4度以上は01年の赤星7度と藤本4度以来。球団新人記録は98年坪井の11度。

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