“三振はセクシー”MLB史上4人目の快挙は日本流の投球から

[ 2016年5月16日 11:35 ]

<ナショナルズ・タイガース>20三振を奪い喜ぶナショナルズのシャーザー(AP)

 マウンドにある投手板の横幅は61センチ。07年の規則改定により、投手は軸足が触れていれば、どこを踏んでもいいルールになった(以前は横幅よりはみ出せなかった)。

 メジャーリーグの試合を見ていると、右投手なら投手板の一塁側を踏んで投げる投手が目立つ。「動く球」が主流のメジャーでは、ツーシームを右打者の内角に食い込ませるには、一番角度がつくからだろう。

 一方、日本の投手は三塁側を踏むことが多い。今季の3、4月の月間MVPを獲得した巨人・菅野、ロッテ・涌井をはじめ、日本ハム・大谷も三塁側だ。

 日本では右投手で言えば、回転のいい直球を右打者の外角低めに制球することが投球の基本とされる。プロ野球のキャンプのブルペンを見ていても、外角低めへ球数を多く投げる投手が圧倒的に多い。打者の体から最も離れたコースだけに、きっちり制球できれば被打率は低くなる。野村克也氏は外角低めへの制球を「投球の原点」とまで言っている。

 先日、ナショナルズの右腕・シャーザーが、メジャー史上4人目の20奪三振を記録した。スリークオーターから160キロ前後の直球と切れのいいスライダーを軸に組み立てるタイプの投手。現役ではラッキー(カブス)に次ぐ2人目となる30球団勝利も達成し「三振はセクシー」と喜んだ。

 シャーザーは投手板の三塁側を踏んでいた。メジャーでは珍しく、ツーシームではなく回転のいいフォーシーム(直球)を投げる。日本流の投球が大記録につながった。

 ちなみに、ドジャース・前田は一塁側。ヤンキース・田中は三塁側を踏んでいたが、最近は真ん中を踏んで投げたり、試行錯誤を続けている。61センチの投手板の使い方にも注目したい。(記者コラム・川島 毅洋)

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2016年5月16日のニュース