孫が語る蔦監督の真実「親族だからできる負の部分も描いた」

[ 2016年5月7日 11:00 ]

大坂市内で会見した蔦哲一朗監督

 映画監督の蔦哲一朗氏(31)が6日、大阪市内で、祖父で徳島・池田高を3度の甲子園制覇に導き2001年に亡くなった蔦文也元監督について語った。撮影したドキュメンタリー映画「蔦監督―高校野球を変えた男の真実―」では、祖母を中心に、池田高OBで元巨人・水野雄仁氏ら関係者を約4年にわたりインタビューした。

 撮影では「じいちゃんの腹黒い部分や悪口も聞きたかったので、軋轢(あつれき)のあった人にも会いに行った」という。「親族だからできる負の部分を描いた」と笑い、「純粋すぎるが故に人を傷つけたり、有名になってからは生徒とも触れ合いが減って溝ができたようです」と、祖父の人間くさい部分を告白した。だが、赤裸々すぎる内容に難色を示す身内もおり、編集後には“親族チェック”が入ったことを明かした。

 父が駆け落ちで家出したこともあり祖父とは疎遠だったが、小学2年で祖父宅近くに転居。「じいちゃんは別格、と子供ながらに感じていた。オーラが凄くて近寄りがたい空気があった」というが、「プラモデルを買ってくれる優しい人だった」と振り返った。分野は違えど、今や同じ“監督”と呼ばれる立場になり、「多くの人を巻き込む人間力、誰より朝早くグラウンドに行くような純粋なエネルギーや生きざまは、監督として身につけたい」と、祖父への尊敬の念も強めていた。

 大阪では14~20日に第七藝術劇場で無料上映される。連日、蔦氏が舞台あいさつをする予定で、初日は本紙高校野球評論でおなじみ、報徳学園高や慶大、中山製鋼元監督の福島敦彦氏も登壇する。

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