阪神46年ぶり3戦連続完封 岩貞リーグトップ防御率0.65&55K

[ 2016年5月7日 05:30 ]

<神・ヤ>初回2死満塁、荒木(手前)を空振り三振に仕留めてピンチを脱する岩貞

セ・リーグ 阪神2―0ヤクルト

(5月6日 甲子園)
 46年ぶりの偉業を背番号17が引き寄せた。阪神・岩貞祐太投手(24)が6日、ヤクルト戦(甲子園)に先発し7回4安打無失点、毎回の9奪三振の快投で今季3勝目。巨人・菅野らを抑え防御率、奪三振の2部門でリーグトップとなった。ドリス、マテオがともに無失点でしのぎ、1970年の球団記録に並ぶチーム3試合連続零封勝利で3連勝。敗れた広島と並んで2位に浮上し首位巨人とのゲーム差も0・5となった。

 今の岩貞には悪条件も関係なかった。小雨が降る中でスタートした球団記録の期待もかかる一戦で躍動。7回無失点という合格点の内容で偉業達成の原動力となった。

 「初回のピンチを抑えて、すぐに板山が先制点を取ってくれた。“この2点は必死に守ろう”と、思い切って投げました。ヤクルトは上位打線に良いバッターが並んでいる。下位をしっかり抑えて走者をためて上位を迎えないよう、上手く強弱を付けるピッチングができた」

 成長の跡が凝縮された濃密なマウンドだった。初回、先頭の比屋根に中前打を許すなど1死満塁のピンチを背負った。だが、素質を開花させ始めた左腕は動じない。「変化球と真っすぐで、フォームがなるべく一緒になるように修正した」と雄平に代わり起用された5番飯原を外角高め直球で一邪飛。続く荒木も同じ外角の145キロ直球で空振り三振に仕留め、窮地を脱した。甲子園初登板した1年目の14年8月31日ヤクルト戦は小川と投げ合い6回途中4失点で敗戦投手。くしくも、この日と同様、初回に満塁とされ飯原に先制の2点適時打を浴びていた。あれから614日、一回りも二回りも大きくなった姿を見せた。

 仲間の支えも力になった。出身地・熊本を襲った地震に胸を痛め救援物資を送るなど支援活動を続けている。鳥谷、福留、能見、藤川らナインに協力を願い「頑張れ!」「負けるな!」などと綴ってもらったサイン色紙を物資とともに、実家の弟に送った。「(実家の)近くで避難している子どもたちが喜ぶと思った。(サインは)僕からお願いしました。みなさん快く引き受けてくれました」。相次ぐ余震に今も眠れない夜を過ごす故郷を勇気付けたい思いがこもった119球だった。

 前回登板の4月29日DeNA戦に続く自身初の2連勝で今季3勝目。防御率0・65は巨人・菅野を突き放し、奪三振数も55と菅野を抜いてトップに立った。「まだ開幕して1カ月ちょっとしか経っていませんから、どうこう言えるところではないかなと思います」。板山と上がったお立ち台でも「キャッチャーがいいからだと思います」と最後まで控えめだったが、実力はもう、誰も疑わない。(湯澤 涼)

 ◆岩貞 祐太(いわさだ・ゆうた)1991年(平3)9月5日、熊本県生まれの24歳。必由館3年夏の熊本大会はベスト4止まりで甲子園出場なし。横浜商大では2年時に日米大学野球に出場した。13年ドラフト1位で阪神に入団。1年目の14年8月17日DeNA戦でプロ初先発初勝利を挙げ、昨季も1勝。1メートル83、79キロ。左投げ左打ち。

 ≪プロ野球記録は5戦連続≫阪神が4日の中日戦から3戦連続の完封勝利。連続試合完封勝利のプロ野球記録は10年中日、11年日本ハムの各5試合連続だが、阪神では70年10月5~7日以来46年ぶり8度目の球団最多タイ記録になった。今回は3戦とも3人の継投。過去7度はいずれも完投完封が含まれ、3戦連続継投完封はチーム初だ。なお、4試合連続完封となると、前記日本ハムの5試合連続以来延べ19チーム目となるがどうか。

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