今永「一番調子悪かった」6戦目でプロ初勝利 無援続き一変6点援護

[ 2016年5月7日 05:30 ]

<広・D>6戦目でやっと初勝利!7回無失点の好投を見せた今永

セ・リーグ DeNA6―0広島

(5月6日 マツダ)
 やっと勝てた――。DeNA・今永昇太投手(22)が6日の広島戦でプロ初勝利を挙げた。7回を6安打に抑え、6度目の登板で初の無失点投球。過去5試合で計2点しかもらえなかった援護点にも恵まれた。9三振を奪い、今季52奪三振は阪神・岩貞に次ぎ巨人・菅野に並ぶリーグ2位。ドラフト1位ルーキーがエースへの一歩をしるしチームは今季初の3連勝を飾った。

 涙はなかった。ウイニングボールを 握りしめた今永の表情は硬かった。

 「こんなに勝つのが大変とは…。(今までの)4敗は自分の力が及ばなかった。広島に勝ったというより、過 去の自分に勝ったと思う」

 6度目のマウンド。初のマツダスタジアムで、初回は2四球と荒れた。それでもアウトは全て三振で 奪い、粘った。2回以降も3者凡退は一度もなし。「調子は一番悪かった」が、粘った。自己最多の125球を投げ7回無失点。「何とかはいつくばって。少しは自信にしていいかな」と胸をなで下ろした。

 1月9日、新人合同自主トレ初日。野球ノートをつけ始めた。チームのエースになるために、必要なことを書き留めるようになった。

 3月29日、デビュー戦で巨人打線に3本塁打を浴びた。プロでは甘く入ったらオーバーフェンスになることを知った。

 4月5日、中日戦。援護はなかったが、先制点を与えた自分が悪い。4月14日、高校時代に届かなかった甲子園での阪神戦。初めて回の途中で降板し、ふがいない。

 4月22日、巨人打線を1点に封じた。リベンジはできた。

 4月25日。横浜スタジアムでの練習中に、過去の記憶がよみがえった。駒大1年時に野球部の寮で見た広島・前田健のインタビュー。「優勝から遠ざかっている広島だから勝つのが難しいですか?」という問いに、きっぱり言った。「そんな言い訳をするような投手はどこでも勝てない」。その通りだと思った。

 4月29日、初めてリードした5回に逆転2ランを許した。次回テーマは「5回の壁」に決めた。

 5月6日。4回終了時にアンダーシャツを着替えた。「いつもは5回に着替えるけど、今日は5回から始まると。ここからどれだけ投げられるか」とギアを入れた。駒大時代からイニング間にマウンドに一礼する儀式は忘れなかった。これまで33イニングで2点だった援護は大量6点。2回には自らスクイズも決めた。

 9三振を奪い、リーグ2位タイの52奪三振。奪三振率11・70は野茂の新人時代(10・99)を上回るペースだ。ラミレス監督は「将来エースになれる投手」と左腕を称えた。「なぜ勝てたかをノートに書ける。1勝で満足ではない。これから積み重ねる小さな小さな1勝」。今永はしみじみと言った。 (川島 毅洋)

 ◆今永 昇太(いまなが・しょうた)1993年(平5)9月1日、福岡県北九州市生まれの22歳。小学校時代はソフトボール、中学時代は軟式野球部に所属。北筑では県4回戦が最高成績。駒大に進み東都リーグで3年秋7勝。優勝の立役者になりMVP獲得。1メートル77、80キロ。左投げ左打ち。

 ≪野茂超え奪三振率≫ルーキーの今永(D)が7回無失点でプロ初勝利。開幕4連敗後に初勝利は、ドラフト制以降のチームでは96年関口、13年井納と並び最も苦しんだ初勝利となった。この日は9奪三振。今季52奪三振となり、奪三振率は11.70と岩貞(神)の11.98に次いでリーグ2位の高さ。過去の新人で規定投球回を投げ奪三振率10以上は90年野茂(近鉄)の10.99だけで、今永は野茂を上回るペースで奪三振を積み上げている。

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