マー君 直球ゼロでゴロの山 今季最長8回0封も…2勝目ならず

[ 2016年5月7日 05:30 ]

<オリオールズ・ヤンキース>8回を投げ7奪三振、無失点の力投を見せた田中

ア・リーグ ヤンキース0―1オリオールズ

(5月5日 ボルティモア)
 また無援。ヤンキース・田中将大投手(27)は5日(日本時間6日)、オリオールズ戦に先発し、8回を5安打無失点と好投。直球(フォーシーム)を封印して1球も投げず、シンカーと高速スプリットでゴロアウトを量産した。しかし、打線の援護がなく0―0で降板し、2勝目はならなかった。チームは延長10回にサヨナラ負けし、借金8で地区最下位。防御率をリーグ8位の2・29まで下げた田中の孤軍奮闘が続いている。

 ゴロゴロゴロ――。曇天の雲間からのぞいた稲光ではない。雷神様のようにマウンドに仁王立ちした田中が、強力打線相手にゴロの山を築いた。初回1死、通算197本塁打のジョーンズを内角シンカーで三ゴロ、続く昨季本塁打王のデービスを外角スプリットで二ゴロ。4回1死一、二塁のピンチではスクープを初球スプリットで詰まらせ三ゴロ併殺に仕留めた。

 球の勢いが増した5回以降は、打者13人から6三振を奪った。「結果は今年一番、良かった」と今季最長の8回を102球で無失点。7三振を除く17アウト中12個がゴロアウトだった。

 「気持ち」を込めたフォーシームは田中の代名詞の一つだった。だが、2年のメジャー経験を経てその先を求めた。「僕のフォーシームは通用していない。被打率とかリーグ平均より悪い」。前回4月29日のレッドソックス戦、中間のブルペン投球、そしてこの試合と、フォーシームは1球も投げていない。それに代わる軸がシンカー(ツーシーム)と、速球との球速差が小さい握りの浅い高速スプリットだ。

 被本塁打が14年の15本から昨季25本と増えた反省などを踏まえ「打球が上がらないに越したことはない。シンカーで攻めているのが大きい」。打球のゴロ数をフライ数で割った「GB/FB率」は投手タイプを測る指標で「1・60」が基準。それより小さいとフライ投手、大きいとゴロ投手になる。昨季の「1・39」に対し、今季は「2・30」。被本塁打は6試合で2本だ。新たな投球スタイルが防御率2・29の好成績につながっている。

 ただ、チームは借金8で最下位に低迷。ここ3試合で援護点が計4点しかない田中は「自分のコントロールできることに集中し仕事をすることが大事。我慢していい投球を続ければチームの勝つ確率は上がる」と前を向いた。白星はなくとも、これが自分の生きる道という手応えは深まった。(ボルティモア・後藤 茂樹)

 ≪全球種の中で最も高い・313≫田中の球種別の通算被打率で、直球(フォーシーム)は全球種の中で最も高い・313。14年・313、15年・309で、今季も・400と打たれていた。他の球種はスプリットが・175、スライダーが・159と低く、ツーシーム(シンカー)は・287となっている。

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