勢い止まらん原口劇場 気迫マルチ&2試合連続零封リード

[ 2016年5月6日 05:55 ]

<中・神>4回表2死、原口の打球が小熊(手前)を強襲する

セ・リーグ 阪神1-0中日

(5月5日 ナゴヤD)
 阪神・原口文仁捕手(24)の勢いが止まらない。3試合連続先発マスクを任された5日の中日戦(ナゴヤドーム)で2試合連続の零封勝利と3位浮上に貢献。メッセンジャーとの初バッテリーを堂々と務めた。8回には大島の二盗を阻止し、打撃でも2安打して打率・529まで上昇。フル出場した今回3連戦では天敵のビシエドをわずか1安打に封じるなど混戦の正捕手争いで大きな存在感を示した。

 緊迫の終盤8回。リードは1点しかなかった。2番手のドリスが制球が定まらず先頭打者に四球。しかも、一塁へ出したのは4年前の盗塁王、大島だ。経験豊富な捕手でも重圧を感じる局面で原口は落ち着いていた。

 バントに構える荒木に初球もボール。2球目、走った大島の姿を目に留めながらシュート回転する内角球を捕球して素早くベースカバーの鳥谷へ投げた。

 タッチまで余分な動作を必要としない二塁ベース上への低い送球。ピンチの芽をつみとり、珍しく胸を張った。「あれがアウトかセーフかで流れが変わったので。勝負どころでした」。金本監督にも「大きかったよね。もうそこしかないところに投げたから」と称賛された。

 初めて組んだメッセンジャーの7回無失点の力投も手助けし、「(メッセンジャーは)相手の打席での反応を見て考えるので僕もバッターの反応を見ながら組み立てました」と振り返った。

 打席での強打もまぶしい。4回は中日・小熊の右腕を直撃する強烈な一打。6回にも2死無走者から山井のカーブを左翼線へ運んだ。過去2試合の8番から7番へ上がった打順で打率・529へまた上げた。

 「きょうは7番だったけど、打席に立った時は攻め手として気持ちを切り替えて。攻守の切り替えを大事にしています」

 前日4日にプロ7年目で初本塁打を記録。左翼席へ打ち込んだ記念球はまだ手元に戻ってきていない。「まだ見つかってなくて…。帰ってきてくれれば良いんですけどね」。苦笑いで明かした“悩み”も活躍があったからこそ生まれた。

 3連戦にフル出場。捕手として初対戦した中日・ビシエドをわずか1安打に封じた。藤浪、メッセンジャーという主戦とも堂々とバッテリーを組んだ。特に後者で言えば開幕から6試合連続で女房役を務めていた岡崎を押しのけた。抜てきは金本監督の発案だった。

 「これからメッセとも組ませていかないといけないしね。矢野とも話して。僕はそうしたいなと思っていて矢野もその通り、返事をくれてね」 

 2試合連続の零封に貢献。しかも、最少得点を守り抜いた1―0勝利で得た経験値は計り知れない。育成から支配下登録と1軍初昇格を同時に果たした先月27日から1週間強。台頭の速度は予想以上だ。もう正捕手争いの「大穴」ではなくなった。(久林 幸平)

続きを表示

2016年5月6日のニュース