絶好調菅野わずか2時間3分コイ料理 開幕4連勝で首位奪回

[ 2016年5月6日 05:30 ]

<巨・広>子供のファンとタッチする菅野

セ・リーグ 巨人4-2広島

(5月5日 東京D)
 「こどもの日」にエースが躍動した。巨人の菅野智之投手(26)が5日、広島戦で2失点完投し、リーグトップタイの4勝目を挙げた。握りを改良したスライダーを駆使し、10奪三振で自身初の2試合連続2桁奪三振も達成。無四球の快投で、今季両リーグ最短の2時間3分の投手戦を制した。内野安打で出塁した6回に先制のホームを踏むなど攻撃でも勝利に貢献し、チームは首位を奪回した。

 子供たちから注がれる憧れのまなざし。菅野は少しはにかみながら、お立ち台へと上がった。

 「試合前からたくさんのお子さんたちが“菅野、頑張れ!”と声を掛けてくれた。力に変えることができました」

 「こどもの日」でたくさん詰めかけた少年少女ファンの前でエースの投球を披露した。6回までわずか1安打。3点リードの7回2死二塁で41イニングぶりの自責点となる右越え2ランを天谷に許したが、後続は抑える。8回を投げ98球。「ここ2試合、リリーフ陣が頑張ってくれていた」。尾花投手コーチに続投を志願。107球で早くも今季3度目の完投だった。

 試合前時点で両リーグトップの打率・281を誇った広島打線もねじ伏せた。好調の裏には、開幕後に握りに変化を加えた「新スライダー」がある。昨オフに指先の力を強化。直球には圧倒的な力強さが備わったが、スライダーに限れば人さし指と中指の強さが増し過ぎたことで球速が上がり、制球難に陥った。

 開幕直後には「1球ごとに曲がりが違う」と苦心していた。登板を重ねながら改良を続けた。従来より親指がボールの縫い目に触れる部分を増やし、親指の力を生かして制御する形がはまった。7回に天谷に被弾した直後の鈴木、さらに8回1死一塁の代打・エルドレッド、続く田中と勝負どころでスライダーを選択。全て空振り三振に斬り、10奪三振で自身初の2試合連続2桁奪三振につなげた。52奪三振はリーグトップ。力強い直球と正確無比なスライダーで「ストライクゾーンで勝負できている」。だからこその今季2度目の無四球完投だ。

 打撃でもチームを鼓舞する。先頭の6回、鋭いスイングに激走で遊撃内野安打。先制の足掛かりをつくった。昨季終了後には登板した全試合の投球だけでなく打撃シーンも見直した。「自分が1本打っていたら全然違ったところがあった」。向上心から今春キャンプでは内田打撃コーチに師事。打撃にも熱を入れてきた。早くも14年のシーズン自己最多7安打に並び、打率は野手顔負けの・412を誇る。

 投げる度に増す圧倒的な存在感。リーグトップタイの4勝目で、チームは1日で首位の座を奪回した。高橋監督は「いつも通りですね」とエースの力投に笑顔で繰り返した。「こどもの日というか、ゴールデンウイークらしい楽しい記憶はない。野球ばかりしてました」。幼少期の憧れは仮面ライダー。この日の子供たちのヒーローは、間違いなく菅野だった。 (川手 達矢)

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2016年5月6日のニュース