ユニ届いた！阪神・原口　プロ初先発マスクで勝利貢献「とてつもない喜び」

＜神・Ｄ＞原口は最後を抑えたマテオ（左）と抱き合う

セ・リーグ 阪神２―１ＤｅＮＡ

（4月29日 甲子園）
　シンデレラボーイがまたやった。育成から支配下登録されて３日目。阪神・原口がプロ初となる先発マスクを被り、チームを勝利に導いた。最少得点差のしびれる試合を最後までリードした男は満面の笑みで喜びを表現した。

　「とてつもない喜びです」

　１点リードの９回１死、倉本に三塁打を浴び一打同点の大ピンチ。「同点までは仕方ないと思ってやりました」。迎えた代打下園の打球は自らの前に転がるボテボテのゴロ。焦ることなく処理してアウトを重ね最後は戸柱を三邪飛に仕留めた。

　すべてが初めての経験で、９回などは平常心でいられたはずがない。事実、１球ごとにミットを外して左手の汗を拭き、返球する右手にはしきりに土を付けた。極限に達する緊張の中で、１勝を勝ち取った。「しびれる試合で（マスクを）被らせてもらった。良いスタートになる」とこれ以上ない自信を得た。

　矢野作戦兼バッテリーコーチは「（リードは）要求通りにピッチャーが投げてきて初めて良いリードと言える。原口にはそれがある」と称賛した。実力だけではない。投手の信頼を得た、原口の人間性が、勝利をたぐり寄せたのだ。

　この日、ようやく背番号「９４」の新しいユニホームに袖を通した。金本阪神に突如現れた正妻候補が、猛虎浮上のキーマンになると信じたい。

　≪５年ぶり８人目≫原口（神）が７番・捕手でプロ入り初のスタメンマスク。過去に１軍出場のない育成選手の支配下登録後プロ初スタメンは、阪神では１１年に田上が１０月２０日の横浜戦（甲子園）で８番・左翼で出場して以来５年ぶり５人目。捕手では初めて。１２球団の育成出身捕手では１４年西森（Ｄ）以来５人目の初スタメンマスクで、出場３試合目は１２年中田（西）の２試合目に次ぐ２番目の速さとなった。