待たれる真相究明 コミッショナーも巨人も「全面協力」

[ 2016年4月30日 09:15 ]

羽田空港で布をかぶり、移送される笠原容疑者

巨人元投手・笠原容疑者ら逮捕

 巨人の野球賭博問題に絡み、警視庁組織犯罪対策4課は29日、元巨人投手で飲食店経営者の笠原将生容疑者(25)を賭博開帳図利(とり)ほう助の疑いで逮捕した。また、これまで「B氏」とされNPB(日本野球機構)が野球賭博常習者と認定した自称無職の斉藤聡容疑者(38)も賭博開帳図利の疑いで逮捕。組対4課によると、2人は容疑を認めているという。

 巨人は笠原容疑者ら2人の逮捕を受け、今後も捜査に対して全面協力していく構えを見せた。

 これまで公表していなかった事実も踏まえた調査概要の報告とともに、球団としてのコメントを発表。「両容疑者が当球団内部で野球賭博の勧誘を行っていた実態が解明されるよう、今後も警視庁の捜査には全面的に協力していく所存です」と改めて強調した。

 プロ野球の熊崎勝彦コミッショナーもコメントを発表した。「有害行為につき、全容解明に向けた調査委員会による徹底した調査を継続し、捜査当局の捜査にもでき得る協力をしてきましたが、今後とも捜査に協力していく所存である」。巨人同様の姿勢を明確にし、「今回の逮捕を厳粛に受け止め、一層の緊張感をもってプロ野球界一体となった再発防止策に取り組んでいく」とした。

 捜査権のないNPBの調査は難航していた。3月に高木京元選手の関与が発覚し再調査に乗り出し、新たな情報を得ようと処分軽減の可能性を示して「自主申告」を促す期間限定措置も実施したものの、名乗り出た選手はいなかった。井原敦事務局長は、NPBの調査委が数日前に笠原容疑者の事情聴取を行ったことを公表。ただ、全容解明の鍵を握る斉藤容疑者は協力を拒み続けたままだったという。聴取の内容については「一切、調査委に任せている」として言及しなかった。

 ≪賭博問題の経過≫

 15年10月5日 巨人が福田聡志選手の野球賭博への関与を発表

 7日 巨人が野球協約に基づき福田選手をコミッショナーに告発

 9日 日本野球機構(NPB)が全職員と審判員への聞き取り調査開始

 21日 NPBの調査委員会が、巨人の笠原将生、松本竜也の両選手も野球賭博をしていたと発表。巨人は両選手をコミッショナーに告発

 11月9日 巨人の原沢敦球団代表が引責辞任

 10日 コミッショナーが3選手に無期失格処分の裁定。巨人が3選手との契約を解除

 16年3月8日 巨人が高木京介選手の野球賭博への関与を発表

 9日 高木選手が記者会見で謝罪

 10日 巨人が高木選手をコミッショナーに告発

 11日 渡辺恒雄最高顧問、白石興二郎オーナーら球団首脳が引責辞任

 22日 コミッショナーが高木選手に1年間の失格処分の裁定。巨人は契約解除

 4月29日 警視庁が賭博開帳図利などの疑いで、野球賭博常習者の斉藤聡、笠原の両容疑者を逮捕

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