マエケン イチに勝って試合に負けた 憧れ初対決は3打数無安打

[ 2016年4月30日 05:30 ]

<ドジャース・マーリンズ>7回途中4失点でメジャー初黒星を喫した前田

ナ・リーグ ドジャース3―5マーリンズ

(4月28日 ロサンゼルス)
 イチローに勝って、試合に負けた。ドジャースの前田健太投手(28)が28日(日本時間29日)、マーリンズ戦に先発。「6番・中堅」で先発出場したイチロー外野手(42)と日米通じて初めて対戦し、3打数無安打に抑え込んだ。しかし、6回2/3を投げてメジャー自己ワーストの4失点。リードを守れずにメジャー初黒星を喫し、悔しい結果に終わった。

 イチローを抑えたことよりも、対戦できた喜びが上回っていた。前田は少年時代を思い出しながら、感慨に浸った。

 「まさか今日みたいな日が来ると思っていなかった。結果どうこうより、子供の頃からずっと憧れていた選手と対戦できて、僕にとって貴重で、幸せな時間でした」

 大阪出身。野球を始めたのは10歳だった。14歳年上のイチローはオリックスでプレーし、既にスーパースターだった。「プロ野球選手になりたい」。振り子打法と呼ばれた独特なフォームをまねたこともあった。テレビ画面から見る打席でのたたずまい。2回1死で迎えた初対戦。マウンドから初めて見た。「不思議な感じがした。いつも(テレビで)見ていたあの感じ」。胸を高鳴らせた。

 抑えるために最善を尽くした。初球、内角に90マイル(約145キロ)の直球を投げ込み、ファウル。最後は低めのスライダーで空振りさせ、3球三振を奪った。イチローが今季24打席目で初めて喫した三振だった。4回の2打席目も初球に内角直球を投げ、外角スライダーで三飛。内角を意識させ、的を絞らせなかった。7回の3打席目も内角直球で詰まらせ、遊飛に。完勝だった。日本人の先発投手でイチローにメジャーでの初対戦で安打を許さなかったのは、01年の野茂英雄、07年の松坂大輔以来だった。25日にイチローと初対面。「初めまして、前田健太です」と初々しくあいさつしてから3日後、その実力を存分に見せつけた。

 だが、イチローを打ち取った直後に連打を浴び、2死一、二塁からゴードンに同点打を浴びた。なお2死一、二塁で降板。救援陣が勝ち越され、メジャー初黒星を喫した。中4日でメジャー移籍後最多の101球の熱投も逆転負けを喫し「絶対にリードを守らなければいけなかった。凄く悔しい結果」と唇をかんだ。

 4勝目は逃したが、降板時には本拠地のファンから大きな拍手を送られた。好投していた事実を物語る。「今まではいい結果ばかりついていたのが、今日初めて負けていろいろ反省しないといけない部分もある。次に向けて修正して反省を生かしたい」。憧れとの対戦を経て、マエケンはもっともっと大きくなる。 (奥田秀樹通信員)

 ≪1900年以降では史上12番目≫前田はデビュー戦から5試合で喫した失点はわずか5。ド軍ではメジャー初先発から5試合で5失点は81年の元エース左腕バレンズエラの1失点に次ぐ球団2位の記録。大リーグ全体でも近代野球とされる1900年以降では史上12番目。

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