手負いの4番輝いた 福留9戦ぶりスタメンでいきなりマルチ

[ 2016年4月27日 06:25 ]

<神・巨>3回裏無死満塁、福留は中犠飛を放つ

セ・リーグ 阪神3-5巨人

(4月26日 甲子園)
 阪神は26日、本拠地の甲子園球場で今季初めて巨人との伝統の一戦に臨み、3―5で悔しい逆転負けを喫した。左太もも裏痛を抱える福留孝介外野手(39)が9試合ぶりに先発4番に復帰。39歳の誕生日を自ら祝う2安打と奮闘した。8回には鳥谷の中越え二塁打で一塁から長駆生還する激走も披露。たとえ手負いでも頼もしい勇姿を見せつけた。

 手痛い逆転負けに福留は誰よりも険しい表情で引き揚げてきた。2安打1打点の奮闘も、チームが勝たなければ意味がない。それが4番打者としてのプライドであり、責務でもある。ベンチからクラブハウスへと続いた敗者の列。福留が報道陣の問いかけに無言だったのは、そのためだ。

 左太もも裏を痛めた14日のDeNA戦(甲子園)以来9試合ぶりとなる先発復帰で甲子園の虎党に頼もしい姿を見せつけた。まずは1点を先制した3回無死満塁。高木が投じた外角低めの難しいフォークを熟練の技で中犠飛とした。

 「若い選手がつくってくれたチャンスだったし、無駄にはできなかった。最低限でしたが、ランナーを還すバッティングができて良かった」

 試合途中、球団広報に託したコメントにも、伝統の一戦にかける強い思いがにじみ出ていた。そんな秘めたる思いを、再認識させられたのは8回だった。左前打で出塁すると、鳥谷の中越え二塁打で激走を見せた。走り方を見れば、患部が万全でないことは明らか…。それでも最後まで速度を緩めず、一塁から長駆生還を果たしたのだった。

 「4番なんでね。芯が通るよね」

 慎重に先発復帰の時期を探ってきた片岡打撃コーチは改めて揺るがぬ信頼感を口にした。6回1死では左中間二塁打。堂々の2安打で大きな大きな存在感を示した。

 39歳の誕生日を勝利で祝うことはできなくても『4月26日』との相性は抜群で、日本球界での9シーズン合計で35打数14安打の打率4割だ。「長女が風邪をひいていたから、何もしてないよ」。試合前には家族主催の誕生会がお預けだったことを明かしたが、千両役者ぶりは健在だった。

 「まだ走る方は万全じゃないけど。ちょっとね…、心配は心配。もう少し動けると思ったけど。まあ、そんな走る場面もなかったと言えばなかったけどね」

 金本監督の言葉からも分かるように完全復調にはもう少し時間が必要だろう。手負いでも4番復帰へ送り出したのは、福留が欠かせない存在であるということの証明でもある。75~78年の『輝流ラインユニホーム』が復活した今回の3連戦。宿敵に負け越しては格好がつかない。一進一退が続く4月戦線。帰ってきた背番号8が重苦しい空気を一掃してくれるはずだ。(森田 尚忠)

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2016年4月27日のニュース