金本阪神「超変革」をデータで検証 盗塁リーグトップ 2番犠打ゼロ

[ 2016年4月26日 10:25 ]

5日の巨人戦で二盗を決めるゴメス

 プロ野球は3月25日の開幕から1カ月が過ぎた。金本監督が「超変革」を掲げる阪神は25日現在、25試合で13勝11敗1分けの3位。昨年までと何が変わったのか。データで検証した。

 まず、目に付くのはチーム犠打数だ。昨季25試合消化時点で22あったが、今季はリーグ最少9個で2番打者に至っては0。5回までに決めたのも投手の2つで序盤は相手に簡単にアウトを与えるより、積極的に打って、より得点を挙げようという意思が見える。22日広島戦で、初回先頭の高山が内野安打で出塁し2番大和は一度もバントの構えをすることなく、中越え二塁打で先制点を叩き出したのは記憶に新しい。1回に複数得点したのは5試合あり4勝1分けと無敗を誇る。

 ただ、犠打が少ない要因には成功率の低さもある。企図数16で7度失敗し成功率・563はリーグワースト。23日広島戦の3回1死一塁から岩貞が失敗(結果は三飛)。金本監督も「投手のバントは相変わらず、できんね」と嘆くように、1点を争う勝負どころでの成功が求められる。

 走塁面も進境著しい。リーグ最多17盗塁も立派だが、特筆すべきは盗塁を記録した選手がすでに11人もいることだ。開幕1カ月で、昨年の12人に並ぼうかという勢い。走力が決して高くない捕手の岡崎と梅野に加え、過去2年で1盗塁だったゴメスも、はや2盗塁。メッセンジャーは球団投手として81年小林繁以来となる盗塁を成功させた。象徴的だったのが4月5日の巨人戦で3回に横田が成功させた本盗。チーム4年ぶりで、ヘイグの二盗と絡めた重盗での妙技は01年以来、15年ぶりだった。

 選手全体に次の塁を奪う意識が浸透しているのは盗塁だけではない。本塁突入時の危険防止で今季から導入されたコリジョン(衝突)ルールで捕手が走路の“壁”となることを禁じたことで生還のチャンスが拡がった。阪神でも高山や投手・藤浪が三塁打を記録する以外にも積極的に三塁を狙う走塁が見られ、三塁に走者がいる状況での打席は、ここまで107度。1試合あたり4・28打席は昨年の3・92打席(561打席・143試合)から増加しており、昨年25試合時点で80だったチーム得点もリーグ最多117と大幅増につながっている。

 先発オーダーには新戦力の積極的な起用が目立つ。開幕戦先発した新人の高山、高卒3年目の横田をはじめ、25試合15通りの打順で起用された野手15人のうち7人が昨年は先発にいなかった選手。途中出場を含めると今季プロ初出場を果たした野手は4人もいる。中でも高山は1試合4安打を3度マーク。打率・311、2本塁打で1番として機能。2番・横田との機動力コンビは超変革の象徴だろう。唯一全試合出場の鳥谷は開幕6番に始まり2番、1番と変遷した後、8年ぶりに5番を務め4月22日広島戦では自己最多6打点と、変化の中に新たな側面も見せている。

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2016年4月26日のニュース