マエケン 史上最高のルーキー!デビュー4試合で1失点以下はメジャー初

[ 2016年4月25日 05:30 ]

<ロッキーズ・ドジャース>6回2死満塁、パーラを投ゴロに仕留め、雄叫びを上げる前田

ナ・リーグ ドジャース4―1ロッキーズ

(4月23日 デンバー)
 野茂伝説の地で歴史に名を刻んだ!ドジャースの前田健太投手(28)が23日(日本時間24日)、敵地でのロッキーズ戦に先発し、7回途中3安打無失点で開幕3連勝。先発投手としてデビュー4試合で計1失点は、メジャー史上初の快挙となった。96年9月17日にド軍・野茂英雄がノーヒットノーランを達成した打者有利のクアーズ・フィールドで、6回1死まで無安打の快投。防御率0・36は堂々リーグトップで、この勝利で日米通算100勝を達成した。

 3―0の5回2死、ウォルターズの左翼への大飛球をヘルナンデスが好捕すると、マウンドの前田は「おーっ」と小さく息を吹き、胸の前で右手をグラブと合わせた。ここまで無安打投球。標高1600メートル地点にあり、「打者天国」と呼ばれる球場で、史上2度目の快挙への予感も高まった。

 「この球場はボールが飛びやすいからどうするではなく、いつも通り入って、うまくいかないことがあったときに考えようと思った」。立ち上がりは制球がやや乱れたが、両リーグトップのチーム本塁打数(28本=17試合)を誇る強打のロッキーズ打線を持ち前の制球力で封じ込めた。

 6回1死からラメーヒューに初安打となる中前打を許し、さらに連打で満塁のピンチを招いた。打席に昨季42発、130打点の3番・アレナドを迎え、マウンドに円陣ができた。ここで捕手エリスは「インサイドにどんどんいくぞ!」と声を掛けた。強気のリードを受け前田は1ボール2ストライクから内角チェンジアップで二飛に。「正直、自分の頭にはなかった(球種)。信じて投げた」。この対応力こそ前田の強み。続く4番・パーラもチェンジアップで投ゴロに打ち取った。

 96年9月17日、ド軍の野茂英雄が、クアーズ・フィールド史上唯一の無安打無得点試合を達成した。当時8歳の前田はサッカー少年だった。「申し訳ないけど、覚えてないですね。野球嫌いだった頃で、野球中継があると、アニメが見られなかったから」。それからちょうど20年。同じユニホームを着た日本人投手が再び快投を演じた。

 今季は計25回1/3を投げ、失点はソロ本塁打による1点だけ。大リーグ公式サイトによると、先発投手としてデビューから4試合(20回以上)で1失点以下は史上初の快挙という。防御率は0・36となり、21日に2年連続ノーヒットノーランを達成したカブスのアリエッタの0・87を抑えて堂々のナ・リーグトップだ。

 好調の要因を聞かれた前田は「こっちの野球に対応できている。捕手、投手コーチ、データ分析のスタッフが打者の特徴を細かく教えてくれて頭に入れながら投げられている」と説明。これで日米通算100勝。「完全に忘れていた。携帯ニュースを見て“ああ100勝だ”と」。そう言って笑った後、「広島での97勝はチームメートや指導者に感謝したい。こっちに来ての3勝はいいスタート」とうなずいた。8年契約で入団したド軍でどれだけ勝ち星を積み上げるのか。高地球場も制圧した前田の快進撃は続く。(デンバー・奥田 秀樹通信員)

 ▽クアーズ・フィールド 95年開場の天然芝、非対称型のスタジアム。大リーグの本拠地30球場で最も高い標高1マイル(約1609メートル)にあり、気圧が低いことで打球が飛びやすいとされる。開場から22年目で1―0の試合が9試合しかない。左翼106メートル、左中間128メートル、中堅127メートル、右中間129メートル、右翼107メートル。

 ▽野茂の96年ノーヒッター 9月17日ロッキーズ戦で110球を投げ8奪三振、4四球で達成。クアーズ・フィールド史上初で、いまだ唯一の快挙。同年のロ軍打線はチーム打率・289(ナ・リーグ1位)で、1試合平均12・6安打、8・3得点。雨のため試合開始は2時間遅れ、ぬかるむマウンドに対応するため3回から全てセットポジションで投げた。一方、雨の影響で湿度が96%と高まり、球が飛びにくくなる幸運にも恵まれた。

 ≪データで見るマエケンの凄さ≫

 ☆失点 マウンドが現在の距離(18.44メートル)に定められた1893年以降、メジャー初先発から4試合で計1失点は4人目。この一人であるド軍のフェルナンド・バレンズエラはデビューから最初の10試合は中継ぎ。また、1913年以降で最初の4先発で6回以上を投げ3試合が無失点だったのは45年レッドソックスのデーブ・フェリス以来2人目。

 ☆得点圏被打率 この試合で6回1死一、二塁からゴンザレスに打たれた遊撃内野安打が今季、得点圏で初めて許した安打。通算17打数1安打で、被打率は.059。

 ☆球の質 直球の被打率.040(25打数1安打)は、今季の先発投手で最も低い数値。スライダーでは25度の空振りを奪っており、これは4番目に多い。

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