育成から再び支配下登録“下戸のアブさん”巨人でもう一度輝けるか

[ 2016年4月25日 08:05 ]

西武時代の2014年5月24日、ヤクルトとの交流戦で三塁打を放ったアブレイユ。巨人でも輝くことができるか

 2度、育成からはい上がった外国人選手が巨人にいる。ドミニカ共和国出身のアブナー・アブレイユ外野手(26)だ。一度は日本球界をクビになった苦労人。川崎市のジャイアンツ球場でユニホームを泥だらけにし、1軍昇格を夢見ている。

 12年末、西武の入団テストに合格し、育成契約を結んだ。地道な努力と、2軍戦での活躍で14年5月22日に支配下登録。チーム内でのあだ名は「アブさん」だった。明るい性格で、ある程度の日本語は話すことができる。西武の担当記者をしていた私たち報道陣も、親しみを込めて「アブさん」と呼んだ。

 「あぶさん」と言えば、酒豪の強打者・景浦安武が主人公の水島新司氏の人気野球漫画。「あぶさん」こと景浦は酒を飲んで打席に立つほど酒豪で知られるが、アブレイユは「お酒は好きじゃないから飲まない」と話す。その下戸のアブさんが輝きを放った試合がある。西武時代、支配下登録された直後の14年5月24日ヤクルト戦(西武ドーム)だ。

 初回に左前適時打を放ち、初安打で初打点を記録。3適時打を含む5打数4安打3打点でチームの連敗を3で止め「夢かと思うくらいうれしい」と喜んだ。「野球の環境や、周りの人が好きなので少しでも長くプレーしたい」。しかしその後は結果を出せず、わずか7試合の出場で計16打数4安打。1軍昇格からわずか10日後に2軍落ちすると、再び1軍に戻ることなく同年9月20日に契約を解除された。

 それでも異国の地から来たアブさんは諦めなかった。15年は四国アイランドリーグplusの高知でプレーし、同年11月6日育成契約で巨人に入団。今年3月30日、支配下登録を勝ち取った。背番号は「014」から「33」に。「持ち味は長打力。あらゆる形で勝利に貢献したい」と1軍昇格を目指す。

 漫画のあぶさんは、09年に62歳で引退するまで強打者としてホークス(南海、ダイエー、ソフトバンク)で活躍した。2度、育成からはい上がったアブさんの挑戦も続いている。(神田 佑)

 ◆アブナー・アブレイユ 1989年10月24日、ドミニカ共和国出身の26歳。07年にドラフト外でインディアンスに入団し、その後カブス、ブレーブスの各傘下マイナー球団でプレー。西武、四国アイランドリーグplus・高知を経て、15年育成契約で巨人に入団。3月30日に支配下登録された。1メートル90、85キロ。右投げ右打ち。

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2016年4月25日のニュース